コロナ禍の時間つぶしにと庭仕事を始めた。厄介なのは雑草のカタバミだ。大根みたいな形の根は深く、うっかり引き抜くと、周りに付いた2㍉ほどの球根が周囲へ飛び散り勢力を拡大するから、一向に駆除できない▼意地になって掘り返していると、ミミズやヤスデなどの土壌動物と遭遇し、「ぎゃー」と叫ぶ。子どものころ平気だった生き物を、いつの間にか許容できなくなっていた。それでも土を触っていると心が落ち着き、生き物の姿も見慣れてくる▼東京にいた時、庭はなく、コンクリートできちっと覆った地面に鉢植えを飾るのが、都会的な豊かさだと思っていた。でも、形を整え過ぎた世界は味気ない。外出や触れ合うことに制限があるコロナ禍だからか、人も生き物も共に暮らせる余白が欲しくなる▼カタバミや他の雑草も、ある程度は許容すべきなのだろう。にゅっと顔を出したミミズに「やあ、きょうも元気かい?」と話しかけつつ、整え過ぎず、ゆるりとした間を庭につくれれば。 (得津)
(ニュース和歌山/2021年6月26日更新)