10月に引き続き、「WEST EXPRESS 銀河」のお話を。

 銀河は6両編成で、国鉄が製造した117系と呼ばれる車両を改造しています。東海道・山陽本線の新快速電車で使われていた形式なので、きのくに線の複線区間や阪和線では、その俊足ぶりと国鉄時代のモーター音を大いに堪能できます。

 車内では、一番人気のグリーン個室「プレミアルーム」や家族向けの半個室「ファミリーキャビン」、グリーン指定席「ファーストシート」があります。また、ノビノビ座席「クシェット」は昔のブルートレインにあった開放型B寝台(進行方向に向かって垂直に寝る2段ベッド)を彷彿(ほうふつ)させます。普通座席も前後の間隔が広く、リクライニング角度が深くなっているので快適です。

 車内でのいろんな出会いの場として、多彩なフリースペースが用意されています。テーブルにはチェスやオセロの盤がすでに彫り込まれており、遊び心が満載。紀南各市町村の観光パンフレットもラックにあります。

 そのラックには「うみえるマップ」が置かれています(写真)。これは、和歌山大学きのくに線活性化プロジェクトの学生チームが、きのくに線内の海景を楽しむために作ったものです。沿線で見られる絶景区間の紹介と、銀河が何時に通過するのか、その時刻表が掲載されています。海と溶け込むきのくに線は、最大のアピールポイント。普段乗っていると何気ない海の景色も、県外からの乗客にとっては感動する絶景です。

 私が乗車した時には、昼食に「熊野を感じるお弁当」と「すさみ銀河弁当」をいただきました。地のものしか使われていない一品一品を堪能。駅弁自体の販売が少なくなる中で、懐かしくもぜい沢な時間となりました。

 銀河はすでにラストランまでの予約は終了していますが、海景や食、何よりも「おもてなし」の気風がある和歌山には、必ずや戻ってくることでしょう。

和歌山大学准教授 西川 一弘(第2土曜担当)

(ニュース和歌山/2021年11月13日更新)