新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けていた宿泊業や飲食サービス業ですが、第5波も落ち着き、行楽シーズン真っただ中。県のリフレッシュプランも三度実施されました。
国内旅行消費額をみると、観光庁の公表では、昨年、日本人が10・3兆円で一昨年から12・9兆円減、外国人が0・7兆円(試算値)で、一昨年と比べると4・1兆円の減少です。
和歌山県においても、観光客数が30%減、その中でも宿泊者が41%減(外国人は91%減)と大きく落ち込んでいます。県内旅行者の消費額も一昨年の1378億円から1002億円と376億円の減少となっています。当研究所の試算では1885人の雇用が失われた勘定になります。
宿泊業以外では、商業、道路輸送業への影響が大きく、鉄道輸送業、娯楽サービス業、食料品製造業と続きます。旅行消費額の減少は、宿泊業者だけでなく、多くの産業で働く方々に影響を与えるので、Go Toトラベルなどの施策が重要となっています。
実はコロナ禍において、和歌山県の観光客数は例年の70%、旅行消費額も73%と、全国では消費額の落ち込みが最も少ない県なんです。これは、従来から県内や近隣府県の観光客の比率が高く、近距離旅行が多くなったことが幸いしたといえます。これまで国を挙げてインバウンドを推進してきましたが、外国人旅行者が少ないからこそ、インバウンドの約5倍、20兆円超もある国内需要の掘り起こしを考える機会なのではと思います。
個々の旅館・ホテルが競争するのでなく、地域全体として多様化するニーズに対応する。休日・平日を問わず、あらゆる日本人旅行者が滞在でき、楽しみ学べる観光地域をつくるのが、ひいてはアフターコロナの外国人旅行者引き寄せにつながっていくのではないでしょうか。
和歌山社会経済研究所研究委員 中西 望(第4土曜担当)
(ニュース和歌山/2021年11月27日更新)