人気テレビ番組「月曜から夜ふかし」風にいうと、紀北に住む人を悩ます「和歌山=白浜に見られがち問題」があります。

 私はよく関西の他府県へマーケティングに出かけますが、そこで出会った初対面の人に、「和歌山市から来ました」と自己紹介をすると、多くの場合、この3言で会話が終わります。

京阪神にはない和歌山市の美しい風景(浜の宮海水浴場)

 ①「えっ、和歌山? わざわざ遠いところから来たなぁ」、②「白浜やろ?」、③「白浜、昔行ったことあるけどなぁ…」 

 県外に行く機会が多い人にとっては「あるあるネタ」のようで、ほとんどの人がこの話に共感してくれます。

 この反応を見ると、多くの関西人にとって「和歌山」と聞こえた瞬間、「白浜」 と連想され、紀北のイメージはあまり出てこないことが分かります。ただし、ここ数年は地方創生やリモートワークで紀北の価値も見直されてきていると感じます。和歌山にしかない自然の美しさや歴史の希少性など、まちの本質を考え、生かし、育てていくことが重要です。

 私自身、このような反応を何十回もされ、とても悲しくなりました。未来の子どもたちも同じ思いをするかと思うと、何とかしなくてはと思い、自分にできることはと考え、WEBメディア「ワカヤマデイズ」を作る原動力になりました。

 2017年出版『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』というベストセラーがありますが、これからの時代における取り組みは、「美的感覚、アート/デザイン思考」が大切だそうです。そのためにも都市間交流を進め、他都市の良さとその本質を学ぶことで、ひるがえって紀北エリアの特長、本質、 センスを研ぎ澄ましたい。そしてメディア運営だけでなく、ソフトを連動させたハード系の事業にもいつか還元できればと思っています。

EBメディア「ワカヤマデイズ」運営 武田 健太(第3土曜担当)

(ニュース和歌山/2022年5月21日更新)