まもなく、ほたるの舞う季節ですね。私の住む紀の川市には、細野、鞆渕、貴志川町、江川中、野田原と5つの観賞スポットがあります。場所によって観賞できる時期は違いますが、どこも人工的な明かりが少なく、きれいな水辺が特徴です。

 これまで旧貴志川町と紀の川市で合わせて4回、「ほたるサミット」が開催されました。「ふるさといきものの里100選」に選ばれた市町のうち、日本一のほたるの里を目指す全国の6市町が持ち回りで開き、ほたるの保護や環境を守る活動を通した活力あるふるさとづくりの取り組みを発信する催しです。ほたるは自然環境の美しさのバロメーター。大切に守り、育てていきたいですよね。

 2011年に紀の川市で開かれたこのサミットのために作られた歌が『初恋のほたる灯』です。レセプションで披露しました。淡く切ない初恋、ふるさとや仲間とのきずな、ほたるが乱舞する背景を描いたロマンティックな歌です。「ほたるの『ほ』は、ほがらかに生きることと言っていた」と歌い出し、「ほたるの『ほ』は、本当の生き方を探すことよ」とつながっていきます。言葉遊びの後は、「変わらないせせらぎの音、淡く光るほたる」と、自然を大切にする気持ちと生きる楽しみを、私の初恋にのせて紡ぎます。

 鞆渕は、高校時代の甘い初恋の記憶が残る歌の舞台です。ふたりで訪れ、ふと周りを見渡すと、川辺にほたるがあっちにもこっちにも…。とてもロマンチックでした。また旧桃山町の細野渓流キャンプ場で6月に行われていた「細野渓流ほたる祭」では毎年、ステージで歌わせていただきました。乱舞するほたると私の歌声が山間に響く様が素敵だと評判です。

 残念なことに、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年も祭は開催されませんが、ほたるは変わらず飛ぶでしょう。ふるさと癒やし歌『初恋のほたる灯』のメロディーを聴いて、ほたるの飛ぶ様子に思いをはせてみてくださいませ。

演歌歌手 宮本静(第4週担当)

(ニュース和歌山/2022年5月28日更新)