「秋津野ガルテン」ってご存じでしょうか。田辺市上秋津にある廃校を活用した、都市・農村交流施設として有名な拠点です。ここで和歌山大学と地域が協働で開いているのが「地域づくりの理論と実践」講座です。座学だけでなくフィールドワークもあり、参加する社会人や学生が泊まりがけで楽しく意見交換でき、学びと交流の貴重な機会になっています。

 7月に実施した2回目の講座は約30人が受講し、その半分が学生でした。事務局を担当している私は、図らずもおもしろい学生に出会いました。何と、地域みらい留学エントリー校出身者が3人参加していたのです。これにはびっくり!

 「都市部の中学生が、高校魅力化に挑戦する地方の公立高校に進学(留学)」する選択肢が生まれていると5月のこの欄で紹介しました。全国で100校近くある中、県下唯一のエントリー校が串本古座高校です。

 今回の3人のうち、2人は県内出身者、しかも同校の卒業生。その1人、観光学部3年のTさんに高校時代の話を聞いたところ、「津波に関する高校生サミットで世界各国の高校生と意見交換したことや、地元・串本について学んだことが、地域活性化にかかわる今の進路につながりました」と教えてくれました。

 現在、秋津野ガルテンでインターン中で、県内での地域おこし協力隊を希望しているとのこと。私も協力隊OBとして話に花が咲かないわけがありません(笑)。こういう若者が、未来の和歌山を支える「人財」になるのでしょうね。

 高校魅力化を進める学校では、「地元学」として課題解決型の学びや実践を通じて、地域の人や土地と深いきずなが生まれるケースがよく見られます。結果、「地元愛」や「第2の故郷」としての思いが学生の心に刻まれます。まさに今回、そのことを実感しました。

 地方において高校は地元愛育成の最後のとりで。県下の高校再編では、県外留学者の受け入れおよび地元・和歌山に誇りが持てる学びや体験ができる「高校魅力化」校を増やしてほしいところです。そこで育った人財は、仮に県外に出たとしても、Uターン人材として帰ってくるはず。Tさんも、「串本に戻って何かしたい」と語っていました。教育はやっぱり大事です。

和歌山大学・地域連携専門職員 増山雄大(第1週担当)

(ニュース和歌山/2022年8月6日更新)