私が代表を務めるまちづくり会社、楽善舎が運営するレンタルスペース「黒江tettote(てっとて)~旧岩崎邸」。オープンから約3ヵ月が経ちました。
仲間と2年かけ、海南市黒江にある築100年以上の古民家を改修したこの施設。おかげさまで展示会やマルシェイベントなどの会場として借りてくれる人、立ち寄ってくれる人が増えてきました。しかし、まだまだ認知度が低いのが現状です。
先日、パワーアップに向けたヒントを求め、神戸市へ行ってきました。訪れたのは2ヵ所。兵庫区の「バイソン」と、長田区にある「はっぴーの家ろっけん」です。
まず、「バイソン」は、合同会社廃屋の西村周治さんたちが、朽ちてしまいそうな空き家7軒が密集する一帯を〝村〟と見立て、村民を募りながら、ギャラリーやシェアハウス、工房に生まれ変わらせています。1軒だけを改修するよりも周囲に対してのパワーが生まれ、色んな人が集まることで多様性ができ、新たな人との出会いや交流につながるそうです。
一方、「はっぴーの家ろっけん」は、6階建ての建物に要介護5を含むお年寄り30人ほどが住んでいる介護付きのシェアハウスです。一番の特徴は1階のフリースペース。入居する高齢者だけでなく、学校帰りの小学生や、赤ちゃん連れのママと、地域に住む多世代の人たちのたまり場になっています。代表の首藤義敬さんは「日常の登場人物を増やすことがおじいちゃん、おばあちゃんや自分たちにとってハッピーにつながる。ごちゃまぜな環境だからこそ生まれる相乗効果がある」と話されていました。
両施設とも、物質的な壁も、心の壁も取り除いた環境(共有スペース)を整えること、顔の見える関係性を築くことを大切にしていました。そして活動の根本に、孤独をつくらないようにしたいとの気持ちを感じ、刺激を受けました。
〝てっとて〟は黒江ことばの「手伝って」から付けたのですが、〝手と手〟がつながるようにとの思いも重ねました。今後もご縁が生まれる場所を目指していきます。そして、かかわる人たちが自分らしい生き方や挑戦したいことを伝え合うと共に、応援し合える、そんな場にしていきたいと思いを新たにしました。
黒江コンシェルジュ 瀬戸山江理(毎月第2土曜担当)
(ニュース和歌山/2022年8月13日更新)