あなたの好きなお菓子は何ですか? 私は元気がない時、甘いチョコレートを食べてパワーをもらいます。お菓子には不思議と人を笑顔にする力がありますよね。

 そんなお菓子の発祥地が海南市との説を知った時は驚きました。下津町橘本地区に、ミカンの原種で、お菓子の起源とされる橘(たちばな)が日本で初めて植えられたのが由来です。この地区の橘本神社では毎年4月に「菓子祭」が営まれ、地元の店や全国の大手メーカーが商品を奉納し、業界の発展を祈願します。しかし、これもなかなか知られていないのが現状です。

 少しでも多くの人にアピールしようと、7年前、市民有志が「お菓子のまち」をキャッチフレーズに活動を始めました。地元店がそれぞれに工夫を凝らした商品を作って後押しし、機運を盛り上げています。2018年には「お菓子の振興に関する条例」が制定され、発祥の地であることへの関心を深め、郷土を誇りに思う心を育もうとの取り組みが展開されています。

 活動の一つとして、今年も海南市内全12小学校の1年生を対象に公式PRキャラクター、海ニャンと一緒に巡回授業が行われています。先日、市観光協会お菓子部会の一員の私も市職員さんと共に、絵本の読み聞かせやクイズを実施し、郷土についてやその歴史を楽しく学んでもらいました。熱心に話を聴いてくれる姿に元気をいただきました。

 この10月16日㊐には3年ぶりにJR海南駅西側広場で「かいなんお菓子まつり」が実施されます。ここ数年、新型コロナウイルスの影響を受け、イベントは軒並み中止が続き、子どもたちが笑顔になれる場は失われていました。「こんなご時世だからこそ楽しいひとときを届けたい」との思いで、〝やっぱりお菓子でスマイル!〟をテーマにしています。

 一方、私の活動拠点、黒江では11月5日㊏と6日㊐、3年ぶりに紀州漆器まつりが開かれます。6日はものづくりの体験型イベント「黒江るるる」も同時開催され、こちらでも、子どもたちが楽しめる蒔絵やたわし作りなどの体験、謎解きゲームの準備が進んでいます。これらの催しが生まれ育った町に愛着を持つ機会となり、そしてマスク越しでも笑顔いっぱいになってほしいと願います。

黒江コンシェルジュ 瀬戸山江理(毎月第2土曜を担当)

(ニュース和歌山/2022年10月8日更新)