お母さん あさっては東日本大震災から5年の節目を迎えるわね。そういえば昨年末に、11月5日が「世界津波の日」に決まったんだけど、和歌山に関係ある日だって、きくこ知ってる?
きくこ えっ、そうなの? 詳しく教えてよ。
お母さん これは「稲むらの火」のお話にちなんでいるのよ。1854年のこの日に安政の南海地震が起きて、今の広川町で生まれた濱口梧陵という人が、自分の稲むらに火を付けて村人たちを高台へ導き、助けたの。それで、もともと日本ではこの日を「津波防災の日」に定めていたのよ。
きくこ 立派な人だったんだね。
お母さん 梧陵は、醤油をつくる会社を経営していて、地震の後は、自分のお金で、広川町の海岸線に652メートル、高さ3.4メートルの堤防を造ったの。そのおかげで、村人は仕事を得られたし、1946年の昭和南海地震では津波から村を守ることができたんだね。こういったことから、日本政府が世界に提案して、昨年12月にニューヨークで開かれた国連で決まったのよ。
きくこ じゃあ、この日は世界中の人が、「津波に気をつけよう」と注意する日になるね。
お母さん そうね。我が家でも毎年みんなで防災対策を見直す日にしたいわね。地震や津波の怖さをいつまでも忘れないためにも、広川町にある「稲むらの火の館」へ行ってみようか。
きくこ うん、もっと知りたいな。
写真=濱口梧陵
(ニュース和歌山2016年3月9日号掲載)