10月27日〜11月9日は読書週間。本に親しんでもらおうとの取り組みが、和歌山市と海南市で始まりました。
想像力育もう 総持寺 子ども文庫開設
「かんどりさん」の名で古くから地元の人に親しまれる和歌山市梶取の総持寺は10月1日、「子ども文庫ルンビニ」を境内に開設した。松尾孝龍貫主は「幼児期にたくさんの本と出合えば、読む力や想像力の土台になる。本を通して親子のコミュニケーションを深めて」と期待する。
庫裏の使われていない部屋を、だれでも気軽に利用してもらえるスペースにと文庫の開設を決めた。本紙皆さんコーナーで家に眠っている本を募集したところ、新型コロナウイルスの自粛中で整理する人が多かったこともあり、20軒から絵本1000冊、児童書2000冊が集まった。「子どもに毎晩読み聞かせた思い出がつまった、捨てるに捨てられない本も多くありました」と松尾貫主。
室内には『そらまめくん』シリーズや『ごんぎつね』『ドリトル先生物語』がずらり。松尾貫主が手作りした子ども用いすに座って楽しめる。訪れた野崎幼稚園の芦村真琴ちゃんはディズニーの絵本を手に取り、「これ、読みたかったやつ!」と声を弾ませていた。
松尾貫主は「ルンビニとはお釈迦様の生まれた所。寺は元々、気軽に地域の人が集まって情報交換ができる場なので、ここで色んな出会いが生まれてほしい」と望んでいる。
午前9時~午後4時。貸し出し可。11月からは下田隆宏僧侶がお手製の紙芝居を始める予定。同寺(073・455・1707)。
読書履歴は通帳に 海南ノビノス
図書館やホールなどを備える市民交流施設、海南ノビノス(海南市日方)は読書週間初日の10月27日、利用者が借りた本のデータを通帳に記録するシステムを県内で初めて導入した。
情報システムを手掛ける内田洋行が開発した読書通帳は、全国の公立図書館や学校図書館約100施設が採用。すでに導入した施設で貸出冊数が増えていることから、ノビノスも取り入れた。
利用はまず、同館2階の総合カウンターで読書通帳を入手。本の貸し出し手続きを済ませた後、専用の機械に通帳を入れると、貸出日、本のタイトル、著者名が印字される(写真下)。通帳1冊で本312冊まで記録可能。同市下津町の下津図書館でも使える。
同市教委生涯学習課の宇尾崇俊さんは「本は読んだ分だけ脳や心に蓄積されますが、それが目に見える形で読書通帳に残る。この通帳が子どもさんはじめ、大人も含めて本に親しむ機会へつながれば」と願う。
和歌山県内在住者は貸し出し可能。通帳は同市の中学生以下が無料、それ以外は300円。同館(073・483・8739)。
(ニュース和歌山/2020年10月31日更新)