「大津波警報が発表されました。高台に避難してください」──。11月5日の「津波防災の日」を前に和歌山市で1日、総合防災訓練がありました。福島小学校(同市福島)では、飼い主がペットを連れて逃げる「同行避難訓練」が県内で初めて行われました。もしも大地震が起きた時、飼っている犬や猫はどうなるのでしょうか?
2011年の東日本大震災では、たくさんのペットが家に取り残されました。一緒に避難所へ逃げても鳴き声や臭いが問題になりました。そのため、福島小では先生や保護者、住民が、災害が起こる前にみんなでペットのことを考えようと同行避難を提案しました。
午前9時、警報が鳴り、地域の人が避難所になっている福島小に逃げて来ました。杖をついたおばあちゃん、赤ちゃんを抱いたお父さんに混じり、犬や猫を連れた人もたくさん駆け込みました。
飼い主は受付でペットの種類や、ノミを駆除しているかなどを登録用紙に書き(写真)、運動場へ逃げました。3年の吉田彩乃さん(※1)、日浦杏咲さんは「かわいくてさわってみたくなった。おとなしい犬が多かったので一緒に逃げても大丈夫でした」と安心した表情を見せていました。
避難してきた人たちの安全を確認した後、保健所の職員がペットに迷子札を付けておくこと、ペット用の避難グッズを用意することを説明しました。保健所の渡邊喬さんは「ペットも大切な家族。守れるのは飼い主しかいないので、避難所で受け入れられるよう、他の人に迷惑をかけない飼い方を日ごろから心がけて」と呼びかけました。
チワワ犬と逃げて来た住民の中野実奈さんは「いざという時にどうしていいのか分からなかったです。ペットと飼い主の信頼関係をつくって、しつけをして備えておくことが大切だと思いました」と話していました。
写真下=ペット連れの避難者は運動場で待機した
(※1=吉田さんの吉は上が土の字)
(ニュース和歌山2015年11月11日号掲載)