江戸時代から続き300年
学校では水泳の授業の真っ最中ですね。水泳大会での泳ぎ方にはクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライがありますが、これらとは別に和歌山で300年以上続く「岩倉流泳法」という泳ぎ方があるのを知っていますか? 紀州藩5番目のお殿様、徳川吉宗から指示を受けた岩倉郷助重昌が1710年に始めました。
「吉宗さんも泳ぎの達人でした」と教えてくれたのは、リーダーにあたる岩倉流宗家の那須賢二さん。敵がいないか、海や川の流れがどうなっているかなどを確認するため、顔を水面から出して泳ぐのが基本です。「昔は紀の川で練習していました。1936年のベルリンオリンピック女子200m平泳ぎで金
メダルを取った橋本市出身の前畑秀子さんも、子どものころは岩倉流をしていたんですよ」
今年初めて外のプールで練習した6月19日は雨が降り寒い日でしたが、顔を上げたままクロールのように泳ぐ「抜手」、水面から体を高く上げる「鰡飛(いなとび)」、立って泳ぎながら筆と墨で字を書く「水書」などみんな元気に稽古していました。「鰡飛は水を押すように上に飛び上がる感じ」と教えてくれた高松小学校6年の奥村晃之くんは岩倉流を始めて4年目。4歳から取り組む雑賀小学校6年の堀内梨花さんは「花傘を持ちながら泳いだり、他の学校の子やいろんな年代の人と一緒にできるのが楽しい」とにっこり。
毎年7、8月には教室を開催。那須さんは「泳げない子も顔をつけて、水に慣れるところから教えます。将来、和歌山県外に出る子も多いでしょうが、〝和歌山の泳ぎ方だ〟と自慢できる子が増えるとうれしいですね」。
教室の日程は次の通り。
7月16日、17日、㉔日、28日、30日、31日、8月4日、6日、7日、14日の10日間、各日午後6時、和歌山市秋葉町の秋葉山公園県民水泳場。4歳以上対象。1万円。希望者は名前、住所、電話番号を那須さん(073・423・5543)へ。岩倉流泳法ホームページからも申し込めます。