いわみせいじ賞 「にわとりの話」池田小6年 城口 知佳
みなさんが知っているにわとりはどんな鳥ですか。いろいろなイメージがあると思います。でも、にわとりも昔はとっても美しい鳥だったんですよ。では、美しかったにわとりが今のにわとりになったのはどうしてでしょう。答えは、このお話を読んでみたら分かりますよ。
昔々のにわとりは、スラリとしていて足が長く、まっ白で、おまけに空も飛べる美しい鳥でした。にわとりは自分が美しいことを分かっており、みにくい鳥を見ては自まんするようにふるまっておりました。
ある日、にわとりがみんなに自分の美しさを自まんするために、みにくい鳥を探していました。すると、どろ沼にはまってぬけだせなくなったみにくい鳥が助けを求めていました。どろに足をとられたようです。
ぐうぜん近くを通りかかったすずめが言いました。「どろ沼にはまってぬけだせないのね。私が助けてあげたいんだけど…」。すずめの体はちいさいので助けてあげられなくて困っていました。すずめはとなりににわとりがいることに気づいた様子で、「にわとりさん。どろ沼にはまっているあの鳥を助けてあげたいんだけど、体が小さい私には助けてあげられないの。だからにわとりさんが助けてあげて」と言いましたが、にわとりは「そんなことをしたら私のきれいな羽がどろできたなくなっちゃうじゃない」と言って助けてあげようとしませんでした。
ちょうどその時、近くを通りかかったつるは、羽がよごれるのにもかまわず、どろ沼にはまった鳥を助けてあげました。だから今のつるにも黒い部分が少しありますよね。
にわとりがどろ沼にはまった鳥を助けてあげなかったことを神さまが知ると、カンカンにおこりました。神さまがおこりながら歩いていると、前にあった木に気づかず、ぶつかってしまいました。ぶつかったひょうしに、まっ赤に熟れた固い実が3つ、地上へ落ちていきました。
その実は、歩いていたにわとりの頭に直げきしました。頭に落ちた実は頭からはなれず今も頭についたままです。実が勢い良く落ちたせいで、長かった自まんの足は短くなり、どう体も縮んでしまいました。おまけに落ちてきた実が重たくて空も飛べなくなりました。
みなさんが知っているにわとりのとさかは、天からまっ赤な実が頭に落ちてできたのです。にわとりの足が短いのも、落ちてきた実が原因だったんですね。他の鳥にやさしくしていればこんなことにもならなかったんですけどね。
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漫画「和歌山さんちのハッサクくん」作者、いわみせいじ審査員…よく考え、練られています。キャラクターたちも生き生きしていて、とても素敵です。ただ、語り手がお話を聴かせる形で書かれているので、偉い人が人々に説く寓話(ぐうわ)のようにも聞こえ、少しお説教っぽい感じは否めません。童話風の文章にしていたら、また違った感じに響いたかもしれませんね。
(ニュース和歌山2017年1月21日更新)