1982年から親しまれている海南市船尾の和歌山県立自然博物館。えさや水はどうしてる? なぜ水族館じゃなくて博物館なの? そんな疑問に迫りました。

 

えさは?

 火・木・土曜の午後4時になると館内に音楽が流れます。一番大きな水槽「黒潮の海」のえさやりの時間です。

 えさになる魚は午前中にマイナス20度の冷凍庫から出しておき、3人の職員が1匹ずつ、食べやすいサイズに切ります。

(写真=1匹ずつすばやく切っていきます)

 

 アジが中心ですが、栄養バランスも考えてイカやエビも与えます。1回の量は夏は50㌔、冬は40㌔ほど。真っ先に食いついてくる食いしん坊がロウニンアジです(写真)。

 職員の川口玲子さんは「意外ですがサメやエイは食べる速さでロウニンアジに負けてしまうため、まとめてやるとえさにありつけません。なので、先に1匹ずつ壁際に呼び寄せて与えています」。

水槽の水は?

 次は、魚にとって大事な水。大水槽の水は25㍍プール2杯分の450㌧もあります。海から水をくみ、水をきれいにするろ過装置を通してから、水槽に入れます。

 水槽の水は再利用。装置の底には目に見えない程小さな生き物バクテリアのいる砂があり、魚のふんから出るアンモニアという魚に害のある物質を、害のないように分解します。

(写真=大水槽のろ過装置)

水族館? 博物館?

 水槽がいっぱいあり、魚がたくさんいて、水族館のようですが、実は和歌山の自然について調べる研究所でもあります。水にすむ生き物のほか、化石や植物も展示しています。学芸員という研究者が生き物を育てたり、標本を作って保存しながら研究しています。

 

 学芸員の一人、小原正顕さんは化石などの担当です。「和歌山県有田川町で見つかったモササウルス類の化石は日本一、多くの部分がそろっていて、世界的に貴重な発見です。でもそんな珍しいものだけじゃなく、今いる生き物を標本として残すことも大切なんですよ」と話しています。

 

夜の水族館をのぞいてみよう

 8月8日㊋〜9日㊌。電気の消えた水族館で、生き物たちの夜の姿を観察する。定員20人。2500円。小学5年生〜高校生。申し込みは7月25日までに和歌山県HPから。

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・場所 海南市船尾370-1

・開館時間 午前9時半〜午後5時

・月曜休館(7/17は開館し18休み)

・入館料:470円。高校生以下と65歳以上は無料

・電話:073・483・1777

 

 

(ニュース和歌山/2017年7月12日更新)