船の名前は「海和歌丸」

 和歌山県と四国の間にある海を紀伊水道と言います。この紀伊水道で海に浮いているゴミを集める船があります。その名は「海和歌丸」。

 この船を持っているのは、港の整備などを担当する国土交通省近畿地方整備局和歌山港湾事務所。紀伊水道は荷物を運んだり、魚を捕ったりする船がたくさん通りますが、ゴミがあるとじゃまになります。そのため、月曜から金曜まで、波や風が強い日以外は毎日、この船でゴミを集めています。

 「海面に浮かぶゴミが増えるのは大雨が降った後。雨で川の水が増え、海へ流れ出すんです。梅雨の6月はゴミが多い時期です」。そう教えてくれたのは、海洋環境・防災課の渋谷和之課長。

 ゴミは潮目に集まります。潮目とは、温度や流れる速さの違う海の流れがぶつかり合う場所。この潮目に向かって出発します。見つけたら、船の後ろ部分にある四角い網目の大きなカゴ(コンテナ)を下ろします。ゴミの上を船で通ると、コンテナの中にゴミが入る仕組みになっています。この方法で取れない大きなものは、クレーンではさんで拾い上げます。

 集まるゴミの9割以上は木や草ですが、中にはペットボトルや発泡スチロールも。

 渋谷課長は「少ないですが、タイヤ、テレビや冷蔵庫が見つかったこともありました。海和歌丸は海の環境や交通安全を守るために取り組んでいます。ゴミをちゃんと捨てないと、船が困ることもあるので、皆さんも気をつけましょうね」と呼びかけています。

 

1年でゴミ袋1万5000袋分

 海和歌丸が去年4月から今年3月までの1年間に集めたゴミは400立方㍍。皆さんの家で使っているゴミ袋でいうと、約1万5000袋分でした。台風や大雨が多い年はゴミの量も増え、最近で一番多かった2012年は約7万袋分(1888立方㍍)でした。

東日本大震災後は東北で活躍

 2011年に東日本大震災が起こった時、多くの木や、魚を捕るための網などが津波で海へ流れ出しました。海和歌丸はこの年の5月21日から1ヵ月間、東北まで行って、ゴミを集めるお手伝いをしました。

(ニュース和歌山より。2017年6月14日更新)