Q. 下腹部に違和感と腫れがあります。放置しておいてもいいですか。
◆消化器外科・一般外科 福外科病院 日本外科学会認定専門医
日本大腸肛門病学会認定専門医 福昭人院長
A. 下腹部から足の付け根(そけい部)の筋肉組織が弱くなり、その穴の部分からお腹を覆う腹膜が袋状に飛び出す「そけいヘルニア(脱腸)」と思われます。成人の場合、自然治癒することはありません。放置しておくと、図1にように穴が徐々に大きくなり、男性では体の外にある睾丸に向かって腫れ上がることが多いです。薬で治すことはできず、治療は手術となります。腫れが急に硬く痛くなり、臓器の壊死を引き起こすことがあるので、重症になる前に手術が必要です。
手術は従来、病変部を直接切開する「切開法」(図2)しかありませんでしたが、最近は、内視鏡を使った「腹腔鏡下手術」(図3)が主流です。これは、お腹を3カ所1㎝ほど切開し、腹腔鏡という内視鏡を入れ、お腹の中でヘルニアを治療する方法です。切開法より痛みや合併症が少ないといわれ、再発率も低いので、一般的な治療法になりつつあります。原則として日帰り手術となります。
Q. 乳製品を食べて便通が良くなったのに、肛門に違和感があります
A. 昨今の健康ブームで朝食時、あるいは毎食時にヨーグルトなどの乳製品や乳酸菌飲料、豆乳、野菜ジュース、オリゴ糖、玄米などを摂取されている方が増えています。
これらの食品は、便通の悪い方にとっては、便秘が改善されていいようです。しかし、もともと毎日快便の方にとっては、少し便が軟らかくなったり、やや下痢に近い便となることがあります。特に、軟らか過ぎる便には、腸液がたくさん含まれているため、肛門が刺激を受けます。数回続けて下痢をすると、肛門が痛くなるのはそのためです。
軟便のために起こった肛門の痛み、違和感を改善しようと、温水便座や石けんでしっかり洗っていると、肛門周辺の皮膚のバリア機能が壊れ、ますます違和感が増していきます。
乳製品などを摂りはじめ、便秘が治った人はいいのですが、軟便または下痢になっている人は、形のある便に戻す必要があります。
肛門に違和感を感じたら、毎日摂取している食品や薬のなかに、軟便や下痢の原因になるものはないか振り返りましょう。また、温水便座や石鹸の使用は中止し、その上で7〜10日後、症状が改善しなければ、医療機関の受診をお勧めします。
Q. 頭痛や首こり、肩こりと「かみ合わせ」は関係ありますか?
A. 全身の症状とあごの位置とは密接な関係があります。
かみ合わせは、「①歯とあごの形」「②あごの位置」「③あごの運動」の3つに分類されます。とくに、②の「あごの位置」にずれがある場合、大人も子どもも関係なく、頭痛や首こり、肩こり、腰痛などの症状が現れることがあります。
直立二足歩行の人間にとって、あごは全身のバランサーの役目を果たしています。そのため、あごの位置がずれると、首の骨である頸椎もずれようとし、頸椎のずれを防ごうとして頭・頸部の筋肉が無理に働き、そこが不自然に硬直すると、脳への血流障害が起こります。血流障害は、脳の前頭葉にある運動野の働きを悪くし、脳から筋肉に、無駄な働きをするよう誤った指令を出してしまいます。これが首こりや肩こりの一因だと考えられています。
しかし、あごのずれを治した瞬間、脳への血流が増え、脳細胞が活性化すると同時に、運動野の働きがよくなります。そして、脳からの正しい指令で筋肉が正常に動くため、筋肉の緊張がやわらぎ、頭痛や首こり、肩こりなどの症状が軽減するといわれます。
このような症状でお悩みの方は、一度あごのずれを疑ってみてはいかがでしょうか。
Q.子どもがカラーコンタクトレンズを使いたがりますが、心配です。
眼科 吉村眼科 吉村利規院長
A. 通常のコンタクトレンズ(CL)は実用化から50年以上が経ち、材質・デザインの進歩により、正しく用法を守れば安全・快適に装用できるようになりました。
CLは、レンズを角膜の上に直接のせるものです。角膜は物を見るために透明に保たなければいけませんが、レンズの管理を怠ると感染が起こり、角膜が濁って失明する危険すらあります。
最近、眼科専門医の検査を受けずに、度なしのカラーコンタクトレンズ(カラーCL)をおしゃれ目的で使用する若い人が増えており、目のトラブルが多数報告されています。角膜の形状には個人差があり、初期のCLは数種類のサイズからその人に合ったレンズを選び、処方していました。
しかし、市販されているカラーCLのほとんどは古い素材でサイズが1種類のため、無理な状態で使用し、障害が出てから眼科を受診するケースも少なくありません。通常は定期検査が必要ですが、受診しない人が多いのも問題です。
現在は、標準的なデザインで新しい素材を用いた、従来より安全と考えられるカラーCLも市場に出てきました。どんなレンズを使用するにしても、まず眼科専門医を受診して指導を受けることをおすすめします。
(ニュース和歌山2016年2月27日号掲載)