16070202_obatasenkyo 6月22日に舌戦の火ぶたが切って落とされた参院選。様々な争点が挙げられるが、今回から選挙権を得た18、19歳の有権者はどう受け止め、どう行動するのかが注目される。その中で、和歌山大学観光学部3年の小幡和輝さん(21)は、和歌山の10代の投票率日本一を掲げ、投票率アップにこだわる。24日には第1弾として、10代が選挙について語り合う座談会を開催した。

 小幡さんは、小中学校時代の不登校経験をバネに、高校時代に会社を設立。現在は、学生と企業をつなぐ取り組みや、若者が主役のイベントを開く。

 今回の選挙に向けては、まず3月に総務省主催「18歳選挙権全国ワークショップ」の和歌山での開催に携わり、期日前投票所を和歌山大学内に設けるよう選挙管理委員会に提案した。これは叶わなかったが、小幡さんは、投票率アップが若者の次につながるとの、ある確信を抱き始めていた。

 6月24日は小幡さんと和大生、今春高校を卒業して地元で働く会社員、まだ選挙権を持たない現役高校生の5人が参加。選挙に関する授業や政治へのイメージ、若者と政治との接点を語り合った。

 その様子はインターネットを介し配信。1時間の座談会を延べ70人が視聴した。小幡さんは「はっきりした答えは見つかりませんでしたが、議論は選挙について深く考える機会になりました。若者同士が語り合うことで、同世代が政治をリアルに感じられる気運を高めていきたい」と考えている。

政治と若者 接点探る

 「ぶっちゃけ、選挙行く意味あると思う?」──。選挙について語り合う10代による座談会で、発案した小幡和輝さんが切り出した。参加者からは「あると思うけど、『この人』と思える人がいない」「政治で街や生活が良くなったという実感がなく、公約を見てもきれいごとに聞こえる」と10代ならではの正直な意見が飛び出した。

 18歳選挙権について、和大生の東詩歩さん(19)は「政治の話をしても盛り上がらない。『だれかを応援してるの?』と警戒されることもある」と政治を語ることをある種タブー視する風潮を指摘。池田岳斗さん(18)は「政治のイメージが悪く、話しづらい。悪い面ばかりを報道するメディアも問題で、政治家を正しく認識するには、良い面も伝えるべき」と付け加えた。

 一方、地域でヨーヨーパフォーマンスを披露する大橋空良(たから)さん(17)は、6月17日に成立した改正風俗営業法でクラブの営業時間が変わったことを挙げ、「同じパフォーマーらが運動して国のルールを変えた。政治や民主主義が身近に感じられる機会になった」と振り返り、「投票はして終わりではなく、政治にかかわる入口だと思う」と、自分たちの想像力で政治との接点をたぐりよせられることを強調した。

 座談会の様子はインターネットで中継し、同世代の視聴者を中心に「もっと聞きたい!」などのコメントが寄せられた。小幡さんは「若者全員が投票すれば、候補者の当落を左右する規模になる。投票する若者集団の土壌をつくることで、若者を意識した政策も増えるだろうし、自分たちのこととして考える人も増える」と描く。

 今後、座談会を継続して開くと共に、ホームページやツイッターなどで、選挙に関連する情報を発信していく考えだ。小幡さんは「若者が政治との接点を一人ひとりつかむこと、『みんな行くよね』といった雰囲気づくりが大切。和歌山の10代の投票率日本一を目指します」。未来の社会を担う若者たちの新たな政治参加が始まろうとしている。 

 

(ニュース和歌山2016年7月2日号掲載)