和歌山市ぶらくり丁の北、築地通りの一角に立つ「中国酒家くぅくぅ」。広東(かんとん)・台湾料理を学んだ明渡修さん(61)は、食材に熊野牛やうめぶた、足赤エビと地元産を多く使う。パリパリ餃子とあっさりラーメンを看板にスタートした店は、今や80種のメニューを抱えるほど。「料理人として食で人を幸せにしたい」と思いを口にする。
パリパリ餃子 看板に
こんがり焼かれた小ぶりの餃子。一口で食べられる大きさながら、豚だけでなく牛肉を混ぜた具材で旨味は引き立つ。1995年の開店時から力を入れる一品だ。
「店を開く時、和歌山では広まっていなかった薄くパリパリの餃子と、あっさり味のラーメンを中心にしました。餃子はもっちり感を出すため皮にモチ粉を混ぜ、配合や水分量を試行錯誤。こってり味に慣れた和歌山の人の中華料理に対するイメージを変えたいと考えていました」
料理人を志したのは、この場所で中華料理店を経営していた叔父の影響。23歳で大阪の高級中華料理店に入り、調理師学校に通いながら広東料理を覚え、別の店から台湾へも修業に行った。和歌山に店を構えたのは、40歳の時だ。
「初めは一般的な中華料理店。10年ほどして、選んでもらえる店にしようと地元食材に力を入れました。紀州うめどりが注目されたころです」
店先に、地場産品応援を示す緑ちょうちんが揺れる。5年前、うめぶたの仕入れルートを確保でき、餃子の具を地元食材中心にした。
「ジューシーさが増すよううめぶたに、牛も熊野牛にしました。塩梅入り餃子も作りました。野菜はできる限り和歌山産。タレは湯浅しょう油がベースです。他にも雑賀崎の足赤エビを使ったエビチリや、備長炭の粉を混ぜためんを出しています」
創作メニュー充実
店の雰囲気づくりにも開店時から力を入れる。「あなたの2番目のわが家」をモットーに、食事を終えた人を「行ってらっしゃい」と送り出す。近年は、あっさりした広東・台湾料理の定着を実感しながらも、創作料理を増やし、メニューは80種を超えた。
「塩で味付けした白いマーボー豆腐や、お好み焼き風ニラ玉などを加えました。近ごろは、『おいしい』と言われるより、『食で幸せになってほしい』と、こちら側の思いが強くなっています」
「2番目のわが家」に導かれ、幸せを感じる人がきょうもいる。
中国酒家くぅくぅ
和歌山市元寺町2丁目13
月〜土=午後5時〜深夜0時、日・祝=午前11時半〜午後2時、5時〜11時。不定休
☎073・428・0099
(ニュース和歌山より。2017年2月22日更新)