とうもろこしの粉で作った生地に牛肉を包み、サルサ(ソース)をかけるタコス、サボテンを酢漬けにしたみずみずしいサラダ。メキシコ料理店「メシカ」が6月、和歌山市新中通にオープンした。店主の山口恭子さん(32)は「メキシコ人は食への情熱が強く、料理が多様。店をきっかけにメキシコ文化の奥深さを伝えたい」と意気込む。

本場の味を伝える

 35年続いた喫茶店から引き継いだ店舗を飾るのは、メキシコのお守り「ミラグロ」やサボテン。定番のタコスはトマト、ホオズキ、トウガラシの3種類のサルサを組み合わせて味わう。すりつぶしたとうもろこしが香ばしい生地、トルティーヤは昼と夜の営業時間前に手作りする。

 「肉はメキシコ牛。サガリと呼ばれるわき腹の部位で歯ごたえがあり、細切れにしてトマトやコリアンダーと和えます。タコスは食べる人が料理を完成させる。『オレの味付けが一番おいしい』と現地のおっちゃんは自慢します」

 メキシコの文化を肌で感じるため、オープン前に3ヵ月間滞在。太陽の国の情熱に触れた。

 「食器や調理器具、調味料を買い付けました。レストラン回りだけでなく、ホームステイ先では家政婦さんとキッチンに立ち、タマルというバナナの葉を使った昔ながらの家庭料理を一緒に作りました。帰ってきてからも毎分、毎秒、メキシコのことで頭がいっぱいです」

 辛いだけじゃない

 出身は日高川町。高校時代、中華料理店でアルバイトして料理に目覚め、大阪、東京の多国籍料理店やカフェで修業した。メキシコ料理に出合ったのは29歳。多様なトウガラシの使い方に魅了された。

 「100種類以上あって使い方もいろいろ。コクとうまみを出すために、日本の昆布と同じようにお湯で煮詰める調理法もある。一方で、一般に思われているほど辛い料理ばかりではない。その奥深さにひかれました。和歌山県がメキシコのシナロア州と友好提携していると知ったのも開店のきっかけの1つですね」

 人気メニューのモレ・ベルデは、トマトソースで炊いたライスに鶏のもも肉をのせ、かぼちゃの種やほうれん草で作ったソースをかける一品。

 「このソースに加える野菜については、和歌山在住のメキシコ人に助言をもらいました。彼らの料理に対する熱情にいつも心打たれます。知らないことはまだある。もっと知りたくて続けています」

 食を通じ、愛する国の熱さにふれてほしいと願う。

写真=モレ・ベルデ(左)とタコス

メキシコ料理 メシカ…和歌山市新中通2-37。昼=正午〜午後2時半(ランチメニューのみ)。夜=午後6時〜10時。火曜休み。☎073・488・2868。

 

(ニュース和歌山/2017年11月8日更新)