和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんがイラストと解説で妖あやしの世界へと誘いざなうニュース和歌山土曜号の連載「妖怪大図鑑」。2018年第1弾は、今年の干支、犬にちなんだ妖怪2つです。

其の九拾参〜狛犬

怖さ:0
町の妖怪
出没地域:和歌山県全域

 神社などに見る一対の狛犬の像は、その神社の守護、魔除けのために置かれるが、実は阿吽(あうん)の表情で佇(たたず)む左側の吽形(うんぎょう)が狛犬で、右側の阿形(あぎょう)で口をあけているのは獅子(しし)である。狛犬の起源は古く、ペルシャやインド地方から日本に伝わり、平安時代には清涼殿の御帳前や天皇や皇后の帳(とばり)帷の鎮子(ちんす)には獅子を左に置き、1本の角をもつ狛犬を右に置いたとの記録がある。

 岩出市にある根来寺の鎮護のため覚か鑁上人が千を超える神を勧請した大宮神社。その神社の狛犬は前足がつながれているが、夜な夜な逃げ出したりするのだろうか…。

 

其の九拾四〜送り犬(狼)

怖さ:3
山の妖怪
出没地域:紀南全域

 夜間、山道や峠を歩いていると、後ろからぴったりとついてくる犬(狼)が送り犬である。この送り犬につかれると、絶対に転んではいけない。転ぶと、たちまちに食い殺されるといわれているからだ。ただ、転んでも座ったように見せかけたり、休憩しているふりをすれば襲ってこない。出合っても落ち着いて、敵意がない事を告げれば、家まで送り届けてくれるらしい。好意を装いつつも害心をいだく者や、女の後をつけ狙う男を「送り狼」というが、この妖怪が由来となっている。

(ニュース和歌山/2018年1月3日更新)