名の由来は「猿が手をつないで渡った」という言い伝えにある。多くの人は、猿が手をつながないと渡れない滝、すなわち大きい滝と理解するようだが、それほど幅のある滝ではない。
私は、「猿が手をつなぐ」と聞いて、古い太刀を連想した。太刀の柄頭(つかがしら)に丸い鐶(かん)があり、柄尻の丸い穴に、まるで猿が手を結びあったような金具が付いている。これが猿手で、ストラップのような手貫緒を結ぶためにある。太刀を落とさず安定させるために、手貫緒を手首に巻くのだという。
滝をよく見ると、形がかぎ型に見え、猿手金具と似ていると思った。古代日本人は、刀剣を神仏の象徴とした。滝もまた、人の心に浮かぶ神仏の表象なのである。
(ニュース和歌山/2018年1月27日更新)
上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。