野の滝は、瀧本四十八滝の中心である宝竜滝の対岸にある重要な滝である。民俗学者、柳田國男によると「沖縄では花がナウナウ(のうのう)…(中略)…神仏などを拝む人の言葉が常にナウナウを以て始まる」という。
「野々(のーのー)」は、幼児言葉と神仏を孕(はら)んだ古い言葉なのだ。また、野々(nonno)はアイヌ語で「花、母、良きこと」を意味するという。和歌山には橋本市神野々、那智勝浦町市野々という地名がある。これらの地名も、神の座する熊野神社と関連しているのかもしれない。
推測だが、野の滝は、神仏を崇めた滝といえないだろうか。白いドレスを広げたような華麗な滝は、まさに花。思わず、滝に向かって「のーのー」と拝んでしまった。
(ニュース和歌山/2018年2月10日更新)
大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。