南米は熱狂的なサッカーファンが多い地域です。ペルーも同様で、ロシアで開かれるサッカーワールドカップへの出場を9大会、36年ぶりに決めると、街中お祭り騒ぎ。出場決定の翌日が急きょ、祝日になるほどのサッカー国です。

 先日、ペルー代表の強化試合が行われていた時も、ゴールが決まると車に乗っている人はクラクションで「プップップッ」とリズムよく鳴らすため、試合を見ていなくても結果がわかります。こうした光景を目にしている時にいつも、ペルーの野球もこれくらい国を挙げて盛り上がらないものかと思います。

 2〜3月、ペルーのJICAはボランティア派遣に関する協定を結んでいる近畿大学から、毎年この時期の1ヵ月間、短期ボランティアの大学生を迎えます。今回、近大・福岡キャンパスと広島キャンパスの11人が来てくれました。

 留学で日本の高校野球を経験した日系ペルー人指導者のサポートとして、さらにブラジルから1人、日本からも1人コーチを招待し、普段よりレベルの高い指導を行いました。近大生は、トライアウトで選ばれたペルーのU─17代表選手への指導と、ナショナルチームとの親善試合を行いました。

 U─17には約2週間、基礎から応用まで個人練習を取り入れてレベルアップを図りました。結果、短期間で目に見える成果が表れました。少しのスペイン語と身振り手振りで一生懸命指導した近大生にとって、この経験は、将来、彼らの人生に必ず役に立つことでしょう。

 近大生はナショナルチームと5試合戦い、全勝。日本野球の強さや、相手を崩していく戦術をペルー選手に体験してもらう機会になりました。その一方で、ペルー野球の弱点が浮き彫りとなり、今後、もっと熱く指導していかなければいけないと感じた瞬間でもありました。

 「残り6ヵ月の任期で何ができるのか」を見つめ直し、発揮できる力を全て出し切り、成果を残したいと思います。

写真=近大生がランニングをリードした

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 向陽高校出身で元甲子園球児の森敏郎さんが、青年海外協力隊として赴任するペルーから現地レポートを届けます。

(ニュース和歌山/2018年4月21日更新)