昔、上秋津村の木村佐七という男が、龍神村に商いに行った。帰り道、疲れた佐七は、ついうとうとと滝の前で眠ってしまった。「こんなところで寝ないで、早く帰るがよい」との声に目を覚ますと、そこに錫杖を手に、一つ歯の高下駄を履いた3人の修験者が彼を見下ろしていた。驚く佐七をよそに、修験者たちは天狗のように軽々と崖を飛び降り、滝行を始めた。佐七は感心して見ていたが、目をそらした瞬間、3人は霧のように消え失せたという。「これは、きっとお不動様が注意してくれたのだ」と思い、ここに不動明王を祀るようになったと伝わる。

 別名、赤城ノ滝。滝音が響き渡る中、滝の真横にある不動明王堂に入ると、大きく突き出した天井の巨石に驚かされる。

(ニュース和歌山/2018年6月2日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。