和歌山市雑賀崎の高台に店を構えるレストラン「日進月歩〜cuisine〜」は、店主の道脇勇気さん(38)が提供する県産食材をふんだんに使ったオーガニック料理が人気だ。健康志向の女性を中心に好評で、テラスから望む豊かな自然風景と頻繁に姿を見せるリスが客の笑顔を誘う。「和歌山の食材の良さを発信し、地産地消を広めたい」と力を込める。
豊かな恵み生かす
──オーガニック料理が売りです。
「2014年の開店当初、ピザやオムライス、パスタと洋食を中心に出していましたが、物足りなさを感じていました。その時、友人が有機野菜や無農薬野菜で作るオーガニック料理を教えてくれたんです。環境にも身体にも優しい料理に魅力を感じ、特化しました」
──オススメは。
「ヘルシープレートです。その日仕入れた野菜で7種類の惣菜を作り、盛りつけます。人参の梅干し煮は梅のクエン酸が人参の甘みを引き立たせ、ゴーヤのおかか和えは苦みを抑えるのにショウガの辛みを生かします。肉は鶏肉以外使わず、米は酵素玄米。酵素ドレッシングはイチゴと塩レモンで手作り。夏は下津産のビワを使ったドレッシングを出します」
──みかんカレー、レモンパスタとユニークなメニューがあります。
「カレーは、甘く煮詰めたみかんを混ぜ、皮をかんだときにフルーティーでさわやかな香りがします。パスタは無農薬レモンをスライスして敷き詰めます。時間と共に和風出汁に果汁が加わり、レモンを堪能できます」
──素材へのこだわりが感じられます。
「野菜の多くは紀の川市にある契約農家から仕入れます。畑に足を運び、肥料や育てる際の工夫を聞き、愛情の詰まった野菜を選びます。全国の産地で採れるものより、地元産の方がみずみずしく味も負けていません。無農薬レモンだと形が良くなくても味の濃さや香りが全然違う。こうした食材の力を引き出します」
特産品開発に協力
──店名の由来は。
「毎日の積み重ねを大切にとの思いから。温度や湿度が少し違うと、料理の冷め方や味の仕上がりが変わる。『こうすればおいしいはずだ』と思い上がらず、研究を重ね、料理人や農家の思いが伝わる店にしたい」
──今後は。
「山菜のイタドリを特産にしようと活動する紀美野町のグループを手伝っていて、アジア風に味つけしたマリネ、ジャムにして生地に混ぜたパウンドケーキを作り、店で出しました。今は和歌山市の山東産のメンマを研究中。食材を活用した村おこしで、食の分野から故郷を盛り上げます」
【日進月歩〜cuisine〜】
和歌山市雑賀崎6-51
☎073-446-0866
水曜定休
ランチ=11:00〜14:00
カフェ=14:00〜18:30
(ニュース和歌山/2018年6月13日更新)