この滝の上流にある西峰の山は古来、山伏たちの根本霊場で、行者屋敷があった。呪術の習得を目的に、自然との融合、一体化による即身成仏を目指したという。

 雷の滝は、その名のとおり滝に入ると直ちに雷が鳴り響くといういわくつきの滝。滝壺まで断崖絶壁を降りなければならないが、苦労して滝壺にたどり着いた途端、本当に稲光が光り轟いた。あっという間にあたりの景色は闇に沈み、大粒の雨が轟々と降り注いだ。

 信仰はある程度理解していたが、神威というものが理解できていなかった。滝壺に取り残され、降り注ぐ大雨に、「許してください」と叫んだ。滑る絶壁を登り切り、怖さのあまり車の中で稲光が止むのを待ったが、外は雨の幕滝となった。

(ニュース和歌山/2018年6月30日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。