弘仁年間(810~22年)、空海がこの滝に参籠し、宇宙の真理を読み解こうとした。ある夜、難陀龍王と名乗る龍が枕元に現れ、「この地を世に広めよ」と仰った。空海は早速、草庵を建て、桜の木で薬師如来像を彫り上げ安置した。龍神温泉の名はこの時にでき、空海が難陀龍王の導きにより読み解いた聖地だという。滝名にある曼陀羅とは、人の心に浮かぶ普遍的な宇宙の姿だ。
また、この滝は、中里介山の小説『大菩薩峠』で有名になった。音無しの構えで知られる剣客。顔は蒼白く、鼻筋が通った顔立ちで、眼は長く切れて光った。甲源一刀流の達人、机竜之助。天誅組の変で爆発した火薬により失明寸前となった時、この滝で眼を洗い全治したという。
(ニュース和歌山/2018年7月28日更新)
大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。