炊き出し用のかまどになるベンチや、テントを張れば救護室になるブランコ──。和歌山市中之島の紀和駅前公園は、災害への備えをもった同市初の公園だ。市公園緑地課は「公園の存在自体が、ここで憩う住民の防災意識を高めるきっかけになれば」と話している。

紀和駅前 非常時1000人の受け皿

 1・5㌶の同公園は、JR紀和駅の高架下に沿って昨年5月に整備された。子ども向け遊具、健康遊具が並び、一見普通の公園だが、災害時は周辺住民1000人を受け入れる避難地に変わる。

 ベンチ4台、一人掛けのイス2台などは座面を外すとかまどに。ブランコや格子状の屋根がある休憩スペースは、シートをかぶせれば雨風をしのげる応急の避難場所や救護室として使える。組み立て方を絵で記した看板が立っており、身近な道具でだれもが簡単に設置可能だ。

 11個あるマンホールはふたを空けて便座を乗せ、一人用のテントをかぶせると仮設トイレに。便座やテントは園内にある備蓄倉庫に保管されている。また、地下には断水に備え、1000人の飲み水3日分を確保する貯水槽を完備する。

 住民持ち回りで公園を掃除する中之島地区連合自治会の白井公雄会長は「東西700㍍と細長い公園のため、炊き出し場所や休息所など区分けできるのが利点。地区内で他の避難所があふれた時の受け皿になる」と期待。

 同市は来年度以降、砂山地区にかまどベンチなどを備えた公園の整備を予定する。また、岩出市中島のさぎのせ公園にかまどベンチ12台と園内管理棟に備蓄倉庫がある。海南市は大野中のわんぱく公園に防災機能を備える計画を進めている。

写真=5分で設置できる紀和駅前のかまどベンチ

(ニュース和歌山/2018年8月18日更新)