『紀伊続風土記』で洞尾(うつお)村に、「嶽 村の南川向ひにあり嶽まで登り八町険峻にて岩角を攀ち樹根草茎を捫て登るへし(中略)その遠望の方位を書す頂上近年金比羅権現の小祠を安す因りて村民間参詣する者ありといふ」と記される。

 約1500万年前、マグマが噴き出し、日本最大級の熊野カルデラが形成された。その最長20㌔という古座川弧状岩脈に、有名な「一枚岩」がある。その一枚岩の川向かい、現在の嶽ノ森山に至る登山道を登る途中に、この巨大なナメトコ岩がある。こうした一枚の岩を流れる渓流瀑は珍しく、これだけ長い回廊の滑床は貴重な景観だ。

 滑りそうになりながら岩肌を登る。ここを洞尾村の行者が行き来をしたというのだから驚きだ。

(ニュース和歌山/2018年8月18日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。