今回で最終回となる活動記。ペルーでの生活も2ヵ月を切り、帰国用の航空券が手配されました。いよいよ日本に帰ることになり、寂しい気持ちでいっぱいで、「何ができたのか」と振り返る時期です。

 日本を出発する前は「ペルーに行ってうまく過ごしていけるのか?」「言葉や文化になじめるか?」「どんな選手がいて、どんな練習をしているのだろうか」…。このようなことばかりを考えていました。

 言葉は今もうまく話せませんが、文化には慣れました。まず一番に感じる文化は「家族愛」です。朝起きるとハグをして、ほっぺとほっぺを重ねてあいさつします。家族でのコミュニケーションが非常に多く、このような場面は日本にあっても良いのではないかと思い、私もぜひ家族で取り入れたいです。

 そしてラテンアメリカで暮らす全員を友達のように思っているところです。時には「だれですか?」と戸惑う場面もありますが、ペルーへ来てしまえば、何もかも許してしまう環境になります。活動では正直、ペルーの野球界に貢献できたのか分からない部分が多いですが、何か子どもたちの心に残ったのかな、とも感じています。

 私の活動は巡回指導で、自分専属の指導チームがなかったため、指導が難しかったです。どのチームに行っても野球大国のキューバやベネズエラのコーチがいて、彼らのプライドを傷つけないよう接し方に気を付けました。私の意見を聞き入れてくれる人もいれば、違うと反論する人もいます。ただ、スポーツに正解はないので、一人ひとりの選手に合う指導という点で存在意義を示すことができたと思います。

 また、子ども達はいつも友達のように接してくれ、目標や夢を持たせることができました。ペルーに来る前から抱いていた「何かに取り組むときは目標や夢を持ってほしい」という自分の目標が達成できました。

 今後の活動はまだ分かりませんが、いつかまた、ペルーで野球にかかわりたいと思っています。私の帰国後、新たな隊員が赴任します。ペルーの野球人口が増え、いつか日本代表と試合できることを願い、陰ながら応援したいです。

写真=ペルーの子どもたちと

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 向陽高校出身の元甲子園球児で、青年海外協力隊としてペルーで活動する森敏郎さんのレポートは今回で終了です。

(ニュース和歌山/2018年8月18日更新)