10月、行楽シーズンです。地元で出掛ける場所を探している方、天守閣が再建60周年を迎えた和歌山城はいかがでしょう? 第1土曜日の「#イマワカtalk」、今月は堀で遊覧船を運行する船頭の岸真樹さん(52)を紹介します。見慣れたお城も、堀からの角度だと新たな発見がありますよ。
石垣になぜ刻印?
──運航はいつから?
「10年前、天守閣再建50周年の2008年です。その年、『城フェスタ』と題し、様々なイベントが開かれました。水上イベントの運営に携わっている私は、お堀で舟からお城を案内したいとずっと思っていたんです。3年運航した後、船頭不足や舟の老朽化で中断しましたが、徳川吉宗の将軍就任300年に当たる2年前に再開しました」
──お客さんの反応は。
「和歌山県外からの観光客、いつもお城を散歩されている地元の方など様々ですが、皆さん本当に喜んでくださいます。『何でもっと宣伝せえへんのや?』としかられることもありますよ」
──確かに乗船している約20分があっという間に感じられました。東堀の真ん中に鳥小屋がある理由や、紅葉渓庭園近くの石垣にある穴にすんでいる動物の話など……。
「ネタバレになってしまうので、その辺にしてください(笑)。私自身、お客さんに教えていただくことも多い。その一つが石垣の刻印。一般的には担当した大名のマークと言われていますが、造る際、どの石をどこに運べばよいかの目印という説をある乗客から聞き、なるほどと思いました」
天守閣 石垣越しに
──岸さんが一番、好きなところは。
「やはり御橋廊下と天守閣が一緒に望めるところですね。東堀から一の橋の下を通って舟を西に進め、南に曲がる瞬間に『ジャジャーン!』と言います(笑)。お客さんからも『オー』と歓声が上がります。東堀から石垣越しに見る山上の天守閣、その景色もすばらしいですし、城郭が好きな人にとっては造られた時代ごとに異なる特徴がある石垣自体が人気で、全国から見に来られます」
──趣ある木舟もお城の雰囲気にぴったりです。
「世界遺産の熊野川で川舟下りに使う舟を造っている船大工さんにお願いしたものなんですよ」
──見慣れたお城も、舟からだと新鮮です。
「春の桜は有名ですが、これからの季節は紅葉渓庭園をはじめとする城内の木々や、けやき大通りのイチョウが色づきます。和歌山の街のど真ん中にあるお城。できれば地元の皆さんに、建て直した立派な天守閣のすばらしさを、舟から再確認してもらいたいですね」
お堀で舟に乗ろう
運航日時…㊏㊐㊗の午前10時〜午後4時 ※雨天休み
乗り場……一の橋の約150㍍南にある桟橋
※原則、現地で当日申し込み。先着順
乗船料……中学生以上700円、小学生300円、未就学児無料(2人目からは300円)※春の花見シーズンは別料金
問い合わせ…073・456・6606(アルゴス)
(ニュース和歌山/2018年10月6日更新)