納涼祭で50人を前に歌い上げて自信を持ち、そして娘の成長に力をもらいながら、月日は経過。様々な病気と闘う人を励ますため、2013年にCDを発表した。発売ライブを聴いた友人からは「あなたの歌は『大丈夫、こわくないよ』と勇気づけてくれる」との言葉をもらった。
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右手と右足に障害は残っていましたが、CD発売を機に、歌手活動を本格的に再開しました。地元の和歌山、かつて活動した東京や横浜、さらに名古屋、大阪、岐阜などでライブを重ねました。15年1月には2枚目のCDを出しました。私の心は「ジャズをやっていて良かった」との気持ちでいっぱいでした。
このほか、JR福知山線脱線事故の慰霊祭や、15年の全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」などでも歌う機会をいただきました。自分の主催ライブもそうですが、依頼を受けて立つステージにも、「みんなのために」との気持ちがあふれてきます。再び歌える喜びを実感する日々でした。
様々な活動の中で、大きな規模で企画し開いたのが、「ジャズハート」と題した無料の野外ライブです。14年、片男波公園を会場に始めました。私自身の経験を元に、障害者も健常者も関係なく、立って踊れなくても、声を出して歌えなくても、一緒にジャズを楽しもう。そんな思いを込めたイベントです。全国で活躍するジャズ仲間が協力してくれました。そのおかげもあり、初年度は800人、2年目は1000人、そして3年目はあいにくの雨に見舞われながらも700人が来てくれました。
16年5月、3回目のジャズハートを終え、翌年に向けて動き出そうとしましたが、その思いは叶いませんでした。翌6月、定期的に検診を受けていた病院で、再びつらい宣告が待っていました。
写真=紀の国わかやま大会では紀三井寺陸上競技場すぐ外のステージで歌いました
(ニュース和歌山/2018年12月12日更新)