寛永(1624~45年)のころ、和泉国の猟師、矢敷孫左衛門が滝に来た。ポキンポキンと音がしたので見ると、乙女が微笑みながら枝を折っている。疑念を抱き、鉄砲を構えて再び見ると、娘が大蛇の姿に。恐怖のあまり、「南無阿弥陀仏」と叫び、引き金を引いた。

 別の日、出雲国の僧、島津黙道が滝行のため訪れた。「2日、3日の修行はたやすい」と声がして女が現れた。驚いた黙道は祈祷し、女は大蛇と化した。後に村人が滝に行くと、弁当箱くらいの鱗が3枚落ちていた。

 滝上には今も蛇穴という穴があり、大蛇はそこで死んでいたと伝わる。『紀伊続風土記』では夫婦瀧と伝わる。1月は新しいしめ縄を飾り、滝壺にいくつも生卵を投げ込む風習が残っている。

(経路…国道371号から県道216号で内井川方面へ)

(ニュース和歌山/2019年2月9日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。