江戸時代、美しい村娘がおり、父親はいつも村人に娘を自慢していた。ある日、村に1人の武士がやって来た。最初、村人はいぶかしんで近づかなかったが、その日から盗賊や追い剥ぎがいなくなり、お侍様のおかげと慕うようになった。

 ところが、彼は夜になると宿を抜け出しどこかへ出掛けた。呼応するように、娘が夜な夜な出かけるように。疑念を抱いた父は、着物のすそに糸を結んでおいた。夜中に糸をたどると、そこは真っ暗な滝。娘は、滝壺に消えていった。

 父親は狂ったように名を呼ぶと、滝壺が渦巻き、鎌首をもたげた大蛇が娘に巻き付いていた。父は腰を抜かし座り込むと、大蛇は娘もろとも滝壺に消え、二度と姿を現すことはなかったという。

(経路…寒川地区内県道29号を東へ。途中分岐を新行方面)

(ニュース和歌山/2019年3月16日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。