〝狩りガール〟という言葉を知っていますか? 女性猟師のことで、和歌山には都道府県の猟友会としては全国的にめずらしい女性部が昨年秋に発足しました。10月27日㊐には初めてのイベント「女性ハンターたちのPRイベント〜狩りガールフェスタ」を開きます。今回の「#イマワカtalk」、初代部長を務める溝部名緒子さんに話を聞きました。
きっかけはシシ肉
──〝狩りガール〟、ここ数年、耳にすることが増えました。
「狩猟免許を持っている女性の愛称ですね。猟師が主役の漫画『山賊ダイアリー』の影響もあって、狩猟の認知度が最近少しずつ上がり、猟師がテレビで取り上げられる機会も増えています。猟友会に入っている人は全国に約10万5000人、うち女性は2127人(2018年現在)です」
──猟師の免許を取ろうと思ったきっかけは。
「岐阜に住んでいた7、8年前の冬、近所の方にシシ肉をいただきました。ぼたん鍋とシシ汁にして食べたところ、次の日の朝も足の指の先までポカポカしていて、体の調子が良くなりました。エネルギーがチャージされたような感覚でした。まだ子どもが小さく、料理の材料に無農薬や有機栽培の野菜を使うよう心掛けていた時期で、食の選択肢としてジビエがピタッと当てはまったんです。それがきっかけでいろんな肉があるんだなと知ることができました。シシ肉をくださったその方は猟師さんで、そこから自分で獲れないかと思ったのが最初です」
──それで免許を。
「その後、帰郷し、和歌山県猟友会に問い合わせ、猟師さんにお願いして猟に同行させてもらったり、獲ったイノシシをさばかせてもらったり。そして2015年、免許を取得しました」
身近さ感じて
──和歌山県の猟友会に女性部ができたのは。
「昨年10月です。都道府県の協会では大阪や福井など数えるぐらいしかないそうです。和歌山の女性部は現在、会員65人です。私はエステティシャンで、このほか農家の方をはじめ、看護師、大学の先生、会社員など多彩。普段は普通に仕事をしている方たちが所属されています」
──女性部として初めてのイベントとなる「狩りガールフェスタ」を来週末に開きます。
「盛りだくさんの内容です。まず、試食用にご用意するジビエカレーはフランス料理のシェフが腕を振るったもの。私たちも食べましたが、イノシシ肉のおいしさを堪能できる一品です。シューティングシミュレーターではスクリーンに映し出されるシカやイノシシを模擬銃で撃つ仮想体験ができます。狩りガールの体験談コーナーでは私もお話しします。9歳と6歳、2人の子どもと一緒にさばいていることなどを紹介する予定です」
──参加者に伝えたいことは。
「猟師は全国的に減っています。このイベントに参加して、すぐに免許を取ろう…とはならないでしょうが、鳥獣による農作物の被害、猟の世界、ジビエという食べ物、それらがつながっていて、遠いかなと思っていたけれど、身近なことなんだと感じてもらえる機会になればうれしいですね」
女性ハンターたちのPRイベント〜狩りガールフェスタ
10月27日㊐午前11時〜午後4時、JR和歌山駅前のJAビル1階。
女性ハンターの狩猟体験談、犬用のガムになるシカの骨、シカ肉のジャーキーの販売、シカの角を材料にしたアクセサリーの製作体験会、シューティングシミュレーター体験など。
ジビエカレーの試食(午前11時半と午後1時半。各先着200人)、焼き肉用イノシシ肉や新米などが当たる抽選会(2時)、農産物マルシェもある。詳細は和歌山県猟友会HP。
(ニュース和歌山/2019年10月19日更新)