明治末期の片男波海岸です。前面は石で覆われた堤防で、背後は土堤です。
松の間に見えるのはふじや支店、その先は片男浪館です。明治四十四年八月十五日早朝、夏目漱石は宿所であった望海楼の浴衣を着て人力車に乗り、新和歌浦、東照宮、片男波海岸と名所見物に出かけました。
当日の海は荒れ模様で、同行した新聞記者の記事によれば、海岸に近づこうとした漱石は波しぶきを浴び、濡(ぬ)れ鼠(ねずみ)になった模様です。
紀国堂=和歌山市ト半町38=店主の溝端佳則さんのコレクションを紹介します。
(ニュース和歌山/2019年11月23日更新)