リハビリ医ら支援団体設立
大規模災害発生後、リハビリ面から被災者の健康を支えようと、県内のリハビリ医や理学療法士らが和歌山JRAT(県災害リハビリテーション支援関連団体連絡協議会)を11月23日に立ち上げた。代表を務める和歌山労災病院リハビリテーション科第2部長の峠康さんは「南海トラフ地震の危険性が叫ばれ、台風被害も増えており、県民が被災する可能性はある。災害が起こった後も適切に運動してもらうことで災害関連死を防ぎたい」と力を込める。
全国組織のJRATは東日本大震災を受け、2013年に発足した。避難所や仮設住宅での生活が長引くと、高齢者を中心に閉じこもりがちに。体を動かさないと筋力や心肺機能が低下し、健康に影響が出てくる。峠さんは「車中泊などで血栓ができると、最悪の場合、死につながることもあります」と説明する。
県内での活動を担う和歌山JRATは、リハビリ医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーと幅広い専門家で組織する。災害時、県庁内の対策本部にメンバーを派遣し、県内の被害状況を把握。リハビリが必要な避難所などへ多職種で組む支援チームを送り、医療や介護保険サービスへ速やかにつなぐ。
「例えば避難所での段ボールベッドは、足が悪い人にとっては低すぎると立ち上がりづらい。リハビリの知識を生かし、環境整備への提案もできると思います」と峠さん。現状、災害時は救命救急に注目が集まるが、「地域の防災訓練に参加するなどしてJRATの認知度を高め、災害リハビリの大切さを認識してもらえるよう努めます」と意気込んでいる。
写真=発足記念式典で説明する峠代表
(ニュース和歌山/2019年12月14日更新)