近年、まちづくりイベントに出番が多い和歌山の妖怪。落語家の桂枝曾丸さん(51)は2月23日㊐の「わかやま芸品館」で、地元の妖怪が登場する創作落語「かしゃんぼ」を披露します。台本は本紙連載「妖怪大図鑑」でおなじみ漫画家のマエオカテツヤさん(52)。「地元に根ざした妖怪をよみがえらせます」と声をそろえます。 (文中敬称略)
かしゃんぼ題材に
──毎年冬の恒例「芸品館」。今回は妖怪ですね。
枝曾丸「芸品館は地元にちなんだ落語を聞かせる場です。マエオカさんの『妖怪大図鑑』をきっかけに和歌山の妖怪がまちおこしを盛り上げています。妖怪は和歌山の風土が生み出したロマン。マエオカさん作の『かしゃんぼ』を演じます」
──愛らしい妖怪です。
マエオカ「夏は河童で、秋冬は山に入ってかしゃんぼになる和歌山ならではの妖怪です。『妖怪大図鑑』でも一番人気です。内容はひと夏の少年の物語。訳あって紀南のおばあちゃんの家に預けられた少年がかしゃんぼと出会い、不思議な体験を通じ成長していきます。落語というよりファンタジーのような内容です」
枝曾丸「10年前に発表したことがあります。今回は鳴り物を効果的に入れ、臨場感を出すように心がけました。落語は大人のものとのイメージがありますが、かしゃんぼは心のきれいな人にしか見えないという設定。子どもたちには親しみ、楽しんでもらえますよ」
──もう一席は?
マエオカ「こちらも不思議をモチーフにした新作和歌山弁落語です。和歌山のおばちゃんが見た奇妙な夢から展開する話です。実は年末にM︱1でミルクボーイの漫才に驚き、書き直しました。テンポのある掛け合いが続き、引いた伏線が点と線のようにつながっていく落語です」
枝曾丸「創作落語は演じながら作り上げるので、初演は緊張します。形にできるか、不安と楽しみ両方です」
時代と人伝える
──お二人による和歌山弁落語も回を重ねます。
枝曾丸「20作を超えました。丸正やチンチン電車など時代の風景を込めて来ました。最初は和歌山弁のインパクトを押しましたが、今は方言はアイテムで、その時代の人の姿を伝えます。県外でも笑ってもらえるようになりました」
マエオカ 「僕らは昭和、平成、令和と世相の大変化を体験した世代。そこは和歌山弁落語を作る上でよかったです」
──最後に意気込みを。
枝曾丸「コラボ企画やマエオカさんの絵の展示もあり、一味違う和歌山に触れてもらえます」
マエオカ「家族そろってきてほしいですね」
わかやま芸品館「和歌山妖怪伝説」
2月23日㊐午後2時、和歌山市民会館小ホール。出演は桂枝曾丸。桂雀太、桂華紋、ミスタースキン。2500円、当日2800円。同館などで販売。同館(073・432・1212)
コラボ企画として2月2日㊐午前10時〜午後3時、同館4階で、芸品館招待券などが当たるクイズラリーがある。無料。
(ニュース和歌山/2020年1月18日更新)