一口食べると舌の上いっぱいに広がる濃厚な卵の風味。生石高原の庭さきたまごや串本尾鷲牧場牛乳を使用したプリンが人気の鶴亀堂は、和歌山市黒田と和歌浦中に店舗を構えます。和歌浦店マネジャーの木村凌介さん(23)は「和食の経験を生かしました。卵のうま味を楽しんで」とほほえみます。
徹底した地元産
──プリン専門店は珍しいですね。
「和歌山市黒田の日本料理店『味処 三八波』が2018年にスイーツ部門を独立させて生まれました。今注目を集める、昔ながらの硬めプリンが特徴です」
──なぜプリンだったのですか。
「三八波では有田川町にある生石高原の庭さきたまごを使っただし巻き卵や茶碗蒸しが人気です。高原で平飼いされ、ストレスの少ない環境で育った鶏の卵は濃厚でコクがあり、風味豊かです。この卵の魅力をスイーツで伝えたいと思い、お土産品にもなるプリンを作ることになりました」
──牛乳にもこだわりがあるんですね。
「材料はすべて和歌山産と決めています。県内には牧場が4ヵ所ありますが、その全てを飲み比べ、卵を引き立たせるような濃さがある串本尾鷲牧場の牛乳を使っています。県南端から取り寄せるのは大変ですが、それだけの価値があると思います」
──プレーン以外ではどんな味がありますか?
「日高美浜町はないちご農園『まりひめ』、那智勝浦町両谷園『ほうじ茶』、湯浅醤油『みたらし』です。どれも県産にこだわり、その魅力が味わえます。まりひめはジュレにして上に乗せることでプリンの風味を引き立たせ、ほうじ茶の香りは尾鷲牛乳との相性が良いですね。昨年10月から新たにメニューに加わった湯浅醤油みたらしは甘さとしょっぱさが特徴で、1度食べたら癖になると評判です。個人的には一番好きな味です」
歴史ある場所で
──昨年10月には和歌浦店がオープンしました。
「和歌浦の料理旅館『あしべ屋』を改装した和食店『あしべ屋夢ごてん』に併設しています。築100年以上の古民家で、歴史を感じる建物です。ふすま絵には和歌浦の空を舞う雌雄の龍が描かれています。広い日本庭園を見ながらお食事を楽しんでもらいたいですね」
──メニューのネーミングが印象的ですね。
「ランチはそれぞれ、『観海閣』『妹背山』『不老橋』『玉津島』『若の浦』など、風光明びな和歌浦の名所にしました。お出しする食材はプリン同様、県産にこだわり、肉は熊野牛、魚は毎朝、雑賀崎漁港と有田の辰ヶ浜漁港から仕入れています」
──これからは?
「紀州ぷりんの名前が浸透しつつあり、反響を実感しています。地元のお客様はもちろん、国内外の観光客の方にも、鶴や亀のように、千年万年愛されるお店にしていきたいです」
【紀州ぷりん鶴亀堂】
●和歌浦店●
和歌山市和歌浦中3ー3ー5
午前11時〜午後5時 ㊊㊋定休
☎073・488・2919
●黒田店●
和歌山市黒田2ー1ー25
午前11時〜午後10時 ㊋定休
☎073・497・8131
(ニュース和歌山/2020年3月7日更新)