其の百九拾六 豊年亀
怖さ:2
海の妖怪
出没地域:新宮市
天保10年(1839年)7月14日、紀州熊野浦(現在の新宮市~三重県熊野市の海岸)で、体長1丈8尺(5.4㍍)もある豊年亀が生け捕られた。長い黒髪の美しい女性の顔に2本の角を持ち、大きな亀の甲羅を背負い、腰蓑のような尾が長くのびていたという。また、豊年亀は豊作や疫病などを予言することから、アマビエや件と同じようにその姿絵図は、疫災除けのご利益があると信じられ、護符や縁起物として売られた。
其の百九拾七 神社姫
怖さ:2
海の妖怪
出没地域:佐賀県
文政2年(1819年)4月18日、肥前国(現在の佐賀県)のとある浜辺に、全長約6㍍の妖怪が現れた。角のはえた人の顔を持つ魚のようなその妖怪は「我は龍宮よりの使い、神社姫だ」と名乗った後、こう予言した。「向こう7年は豊作だが、その後にコロリという病が流行る。しかし、我の写し絵を見ればその難を逃れることができるだろう」。その後、神社姫の写し絵は疫病除けの護符やお守りとなり、全国に広まった。日本でコレラが流行したとき、「コロリ」と名が似ていることから、この神社姫の写し絵が再び重宝がられたと聞く。このコロリという病、コロナとも似ていることから、神社姫の護符の出番がまた来そうだ。
(ニュース和歌山/2020年4月25日更新)