イタリア語の〝星空〟から名付けたトラットリア・ステラートは、星が美しい町として有名な紀美野にある隠れ家的イタリア料理店です。同町生まれのシェフ、山本直樹さん(39)は、地元素材の味を存分に引き出す洗練された技で、広く関西圏の客を魅了。「和歌山で採れた旬の野菜や魚のおいしさをシンプルに味わって」と腕を振るいます。

 

シンプルを追求

──前菜からメーン料理まで、鮮やかな野菜が皿を彩ります。

 「量が多いとお客さんに言われることもあるのですが、旬の野菜をふんだんに使うことがぜいたくだと思っています。それには地元産食材が必要不可欠。父が紀美野町で育てた野菜を中心に、パスタには朝一番に採れたルッコラを、メーンに使う和歌山産のコロ鯛には、えんどう豆のピュレやソテーしただけのそら豆を合わせます。シンプルに素材の魅力を引き出します」

──色んな種類のイタリア料理が楽しめます。

 「食感が楽しい豚の舌や足を5時間煮込んで作るコッパロマーナ(豚のゼラチンでかためるハム)、鶏胸肉の上に乗せたホタテはレモンとショウガを加えて香味豊かに。ポルチーニ茸やムール貝など、本場イタリアの食材も味わえます」

──甘味も豊富です。

 「地元産ミニトマトのヴァヴァロア、これからはあら川の桃のタルトなど約10種類のスイーツをテイクアウトできます。クルミとクランベリーのパン、ピスタチオのジェラートも人気です」

 

励ましが力に

──なぜ料理の道に?

 「小学生のころから家にあったレシピ本を見ながら昼食を作ったり、お菓子を焼いたり、黙々と台所に立つのが好きでした。専門学校でイタリアンとフレンチを学び、大阪、イタリア、和歌山、京都で修業しました。京都時代にお世話になった福村賢一シェフには特に影響を受けました。京都でイタリアンを根付かせた先駆者で、料理のほかに店やお客さんに対する真摯(しんし)な姿勢が人生のお手本です」

──これからは?

 「紀美野町真国でオープンして8年。昨年夏、同じ紀美野町の動木に移転し、店舗を一新しました。広い庭に好きな木を植えたり、ハンモックを置いたり。これからはヒマワリが見ごろを迎えます。コロナの影響で店を閉めていた間、お客さんから多くの励ましがあり、その一つひとつが店を続ける原動力になりました。これからも田舎の豊かな環境の中で、ゆっくり食事を楽しんでもらいたいです」

 

トラットリア・ステラート

紀美野町動木1795ー5
ランチ:午前11時〜午後2時
カフェ:午後2時〜9時
ディナー:午後6時〜9時
㊊㊋定休 【要電話予約】
☎073・488・5699

(ニュース和歌山/2020年6月6日更新)