2013年にオーストラリアで始まった、不要な布でエコバッグを作る活動「ブーメランバッグ」。レジ袋を削減し、プラスチックによる環境汚染への関心を広めるこの取り組みを今年1月、和歌山市のグラフィックデザイナー、貴志真帆さん(38)が始めました。「7月からプラスチック製レジ袋が有料になる。エコバッグを使うことは気軽にできる環境問題へのアクションです」と話します。
古布を再利用
──ブーメランバッグ…聞き慣れない言葉です。
「プラスチック環境汚染の問題を解決しようと、13年にオーストラリア東海岸で始まった市民運動です。廃棄される不要な布を使って、エコバッグを作るシンプルなアイデアが世界中から支持を受け、1100以上の団体が結成されています。地域によって、バッグの販売、配布、スーパーでの貸し出しなど取り組み方は様々。運営サイトに登録するだけで専用のロゴを使用できます。私は今年1月、日本で初めて参加し、製作と販売を行っています」
──きっかけは?
「オーストラリアに住む友人がお土産としてくれたのがきっかけです。市販品にはない風合いがあり、ゆがんで縫い付けられたロゴには赤文字で、〝BRING YOUR OWN BAG(バッグを持参しよう)〟とメッセージが書かれています。高いデザイン性を感じ、〝自分も作りたい〟と思いました。裁縫経験はありませんでしたが、一から始めることに。作る楽しさに目覚め、仕事のかたわら、毎日ミシンを走らせています」
──どんな反響が?
「純粋に〝オシャレだから使いたい〟という方が多いです。色んな柄の古布を再利用するので、選ぶ楽しさがあるとも。エコな気持ちを共有したブーメランバッグは現在、世界中で45万個以上作られています。各団体はSNSを使ってアイデアや情報交換をします」
小さな達成感
──7月からプラスチック製レジ袋が有料になります。
「エコバッグを使い慣れれば、毎回の買い物が楽しく快適になると伝えたいですね。持参した袋を使うたびに、〝きょうもレジ袋を一つ減らせたぞ〟と小さな達成感があり、それがおのずと地球環境を守る行動になります。もらったレジ袋は、無意識に家の中でたまっていきます。それは習慣であって、私はなくても生活していけました。きっと多くの人が適応できると思います」
──活動を通して感じることは?
「環境問題は行政や企業が主導していくものではなく、市民が声を上げていくべきだと実感しました。過剰なサービスだと感じた場合は〝不要〟だと意思表示していくことが大事。バッグもそのアクションの一つです。今後はワークショップなどを通じて、興味を持ってくれた人がその地域で活動できるよう、バッグの作り方や運営の仕方を共有していきたいです」
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ブーメランバッグは和歌山市向のマイソールで販売。500円。なお、不要な浴衣の生地、手ぬぐい、風呂敷、ミシン糸などの寄付を募っている。貴志さん(073・451・8807)。
(ニュース和歌山/2020年6月20日更新)