船釣りに魅せられ、和歌山へ移り住んだ〝おかん〟こと高島静(しず)さん(54)が2月、和歌山市直川の高台に「おかんの味 釣小屋」をオープンしました。自ら釣った魚と、育てた野菜をふんだんに使った家庭料理を提供します。「新鮮な食材とおかんの愛情たっぷりの料理で、皆さんを笑顔にしたい」と顔をほころばせます。
安心できる食事
──なぜ和歌山で店を?
「和歌浦の釣り船、ビッグワンで船釣りに魅了され、大阪から移住しました。自分では食べきれない命を無駄にしたくないと、開店を決めました。お陰で仕入れを兼ねて釣りができています」
──メーンは魚ですか?
「私自身が和歌山近海や京都・宮津の日本海で釣った魚を塩焼きや煮付けにします。献立はその時、獲れたもので考えます。和歌山のタチウオ、ハタ、アジ、甘鯛、宮津のタラ、メバル、カレイなど。昼は魚定食2種と地鶏定食1種、大漁だった時限定の大漁定食はメーンの魚料理が2品つきます。若い人は煮魚、お年寄りは地鶏が喜ばれます。夜は水炊きやすき焼きなどコース料理や一品料理を出します」
──「おかんの味」とは?
「以前、不規則な仕事の合間に外食やコンビニ食を続けたところ、油や添加物を体が受け付けなくなり、何を食べてもおいしいと感じなくなりました。安心して食べられるものをと考え、子どもに作っていた家庭料理だと気づきました。地域の人が誘い合って、あるいは若い人が一人で来てくれます。築約50年の木造住宅の和室や縁側で山や庭の景色を眺めながらくつろいで食事されます」
漁師飯をアレンジ
──こだわりは?
「宮津の漁船、伸栄丸の船長に教わった漁師飯の調理や味付けを取り入れています。塩焼きは塩水に漬けて味を行き渡らせます。干物は干す網の自作から学びました。ライターであぶって食べるホタルイカの干物は、特に好評です」
──野菜たっぷりです。
「新型コロナウイルスを機に畑を始め、トマト、オクラ、枝豆、万願寺唐辛子など数種を育てています。ピーマンのおひたしやナスの揚げびたしといった副菜に使います。たっぷりのネギと地鶏をさっと炒め、おろししょうがをかけ、しょう油を垂らすメーン料理も年代問わず評判が良いです」
──今後は?
「ここに来れば、だれか友達ができる、私と話せる、毎日食べても飽きない、そういう食事を楽しめる地域の台所になりたいです。皆さんが少しでも前向きになれるよう、毎日、大漁旗を掲げて頑張ります」
【おかんの味 釣小屋】
和歌山市直川779ー9
㊏㊐休み
12〜15時、18〜22時 要予約
メール shizup.8010@gmail.com
フェイスブック「おかんの味 釣小屋」
(ニュース和歌山/2020年8月1日更新)