《回答者》

外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 脱腸は、おなかの壁が弱くなり、腸や脂肪などの臓器が入り込んで袋状にふくらむことで、足の付け根(そけい部)に腫れたような症状がでてくる病気です。最初は違和感を自覚する程度ですが、そのままにしておくとだんだんと大きくなり、違和感や痛みが強くなってきます。子どもだけでなく成人でも発症し、高齢になってから脱腸になる方もおられます。


 脱腸は診断を受けた時点で手術するのが原則です。治療せず放っておくと、時間の経過とともに腫れが大きくなり、男性では少しずつ睾丸の方向に下がってきます。また、脱腸の袋の中に入り込んだ腸などが癒着することもあり、こうなると治療が難しくなります。

 治療は、ふくらんだ袋の中の腸などの内容物を元の場所に戻し、袋を閉じます。壁の弱くなった部分は、体に無害な網状のシートを入れて補強します。
 脱腸かもと心配になったら、様子をみるのではなく、早い時期に外科の医師の診察を受けられることをお勧めします。

(ニュース和歌山/2020年9月27日更新)