怖さ:2
川の妖怪
出没地域:岩出市
昔、岩出市船戸を流れる紀の川の側に大きな鯉が棲む「鯉の淵」があった。ある日、殿様がその淵の主を食べたいと言い出した。城の使いが地元の庄屋に「殿様の命だ。鯉を捕らえて料理しろ」と言ってきた。庄屋は困ったが、次の日に村の衆と捕まえることにした。その夜、一人の女が庄屋を訪ねて来た。「あす、網を入れるのはやめてもらえぬか」と言う。庄屋は断り、お茶と草餅を振る舞って帰した。翌日、網に大きな鯉がかかった。料理しようと刃物を入れた途端、腹から草餅が転がり出た。それを聞いた殿様は鯉を弔うように言った。村人は紀の川のほとりに鯉を埋め、目印に木を植えた。その後、木は成長し、「鯉の森」と呼ばれるようになったという。
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(ニュース和歌山/2020年11月21日更新)