以前、「岩出市の畑毛交番の屋根にある動物は?」との質問が届き、方角を示す干支4頭と解明しましたが、今回は海南市の船尾交番にまつわる謎。和歌山市の紀の坊さんから寄せられた「交番前に大きな信楽焼のタヌキが立っていますが、なぜですか」を調べました。
見に行くと、琴の浦交差点を見つめた状態で、男性の背丈ほどあるタヌキの置物が立っていました。いつ、どのような理由で設置したのか、海南警察署で聞きました。
世界リゾート博会場への道案内
「なぜ船尾交番にタヌキの置物?」。海南警察署警務課の岩本晃一さんによると、「1994年に開かれた世界リゾート博がきっかけです。車で海南インターから来た場合、会場のマリーナシティへは琴の浦交差点を左折するので、目印として設置されました」。なるほど、大きなタヌキは道案内の役割を担っていたのですね。
では、なぜタヌキだったのでしょう。当時を知る警察OBに聞くと、会場までの道案内に役立つものを探していた矢先、タヌキの置物を譲りたいと申し出た海南市民がいたためとのことです。
この信楽焼のタヌキは、「八相縁起」と呼ばれる縁起物で、頭の笠は災難を避け、大きな目は周囲を見渡せることから、石川県や神奈川県の交番にも設置されています。
船尾交番に来て26年。夏は涼を取るため水をかけてもらい、年末には丁寧に掃除され1年の労がねぎらわれます。また、散歩途中におなかをなでる人がいたり、外国人観光客が写真を撮ったりと、この地域で長年親しまれてきました。
12月は1年で最も交通事故が多い月です。きょうも船尾のタヌキは市民の安全を見守っています。
(ニュース和歌山/2020年12月12日更新)