シークァーサー、ブルーベリー、イチゴなど様々な果物と組み合わせた梅酒を販売する海南市藤白の酒造メーカー、中野BC。同社食品科学研究所主任研究員の大西由里子さん(31)は、女性の感性を生かした研究を10年近く続け、商品開発を引っ張る。県特産の梅を生かした新たな味づくりにかける思いと今後の目標を尋ねた。(文中敬称略)
地元食材磨く
──この道を選んだいきさつを教えてください。
大西 関西大学工学部で微生物と食品に含まれるアミノ酸について研究しました。インターンシップで、地元産物を大切にする中野BCの社風に引きつけられました。私は和歌山市磯ノ浦出身で、母が地元食材を使った料理をよく作ってくれていたので、その良さを伝えようと就職しました。
──どのような研究を。
大西 入社時からずっと梅を扱っています。ちょうど梅酒ブームが到来し、果汁を組み合わせたカクテル梅酒が出始めたころです。県産イチゴやレモンなどを梅酒とかけ合わせるのが主で、これまで10種類以上のカクテル梅酒を開発しました。
女性目線で開発
──―初めて商品づくりに携わった商品は。
大西 2006年7月発売のシークァーサー梅酒です。夏の発売だったので、さわやかな味にしようと20種類以上の果物を集めて試行錯誤を繰り返しました。その中で一番酸味が利いてすっきりと飲めたのがシークァーサー。梅酒は男性より女性によく飲まれるので、シーサーにハイビスカスをつけた、女性が手に取りたくなるラベルデザインも考えました。
──―女性を意識した商品ですね。
大西 はい。冷え性が多い女性に身体が温まる梅酒をと、ショウガを使った梅酒もつくりました。また、お酒に弱い人にもカクテル梅酒の雰囲気を楽しんでもらうため、水やソーダ水で割って飲むノンアルコールのシロップ「うめジュレップ」をつくり、味は梅と女性に人気の高い柚子、檸檬&ジンジャーにしました。自分とライフスタイルが違う主婦や子育て中の母親の意見を参考に、紅茶やノンアルコールビールなどで割る飲み方のレシピを添えています。
新たな味の探求
──大変な点は。
大西 テイスティングを繰り返すとアルコールで舌がマヒします。また、果実の収穫期間が短く、研究できる時期が限られるため夜遅くまで研究することも。楽ではありませんが、開発した商品が居酒屋で飲まれているのを見るとやりがいを感じます。
──今後は。
大西 度数が少し高い大人向けのリキュールを開発中です。また、県の工業技術センターやうめ研究所、近畿大学と連携し、ニホンスモモと梅を交雑させた露茜(つゆあかね)のシロップづくりを進めています。人を幸せな気分にできる商品を届け続けたいですね。
データ
【中野BC】海南市藤白758-45。電話(0120・050・609)。
(ニュース和歌山2014年10月22日号掲載)