◆消化器外科
大腸肛門病専門医 日本外科学会専門医
福外科病院 福 昭人副院長
A. 痔核は、肛門の2〜3㎝奥にできる内痔核と、肛門出口にできる外痔核に分類されます。いずれも肛門周囲の静脈がうっ滞して起こる静脈瘤です。手で押さえて戻るのであれば、内痔核による脱肛が考えられます。鑑別診断として、肛門ポリープや直腸脱といった病気もあります。
内痔核の症状は出血と脱出ですが、違和感、残便感、掻痒感、貧血もあります。手術適応は、①出血を繰り返して貧血の原因となる ②脱肛のいずれかです。手術方法は、以前は外科的切除が基本でしたが、最近では硬化剤(ジオン)を痔核に注射する術式もあります。治療成績は、1カ月後の脱出消失率は手術で99%、硬化療法で94%。排便時出血は手術で90%、硬化療法で93%以上の割合で改善します。また、1年後の再発率は、手術で2%未満、硬化療法で15%といわれています。入院期間は外科的切除で3〜7日間、硬化療法は日帰り手術が一般的ですが、専門医とよく相談することが大切です。