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 南海本線の紀ノ川〜孝子駅間に新駅「和歌山大学前駅」が4月1日、開業した。急行、区間急行、普通列車が停車し、ふじと台や和歌山大学の最寄り駅として住民や学生の通勤通学の利便性向上が期待される。 (2012年4月7日号より)

開発進むふじと台

整う街の骨格

総開発面積240㌶のふじと台(浅井建設提供)

総開発面積240㌶のふじと台(浅井建設提供)

 和歌山大学前駅は、和歌山市北部の開発が進む丘陵地、ふじと台に位置する。駅設立の計画が浮上したのは1984年、和大の栄谷移転を機に、県、市、大学が南海電鉄に新駅設置を要望。当時予定していた大学入り口の交差点付近は急勾配のため、南海電鉄が難色を示していた。

 93年、大学周辺の土地開発で計画が再浮上したが、事業主体の企業が5年後に会社更生法を適用申請。一時は足踏み状態になったものの、開発事業を浅井建設が継承した。これで弾みがつき、2000年には「和歌山市和歌山大学前駅周辺土地区画整理組合」が設立され、県、市と再び整備を進めた。12年、南海電鉄に事業費負担を求めない請願駅として開業した。

 和大広報課は「駅ができるまで電車を利用する学生は南海和歌山市駅からバスか、紀ノ川駅から2、30分かけて歩いて来た。大阪からの学生にとっては特に便利になりました」と話す。

新駅開業セレモニー

新駅開業セレモニー

 同年9月にはスーパーマーケットや病院、薬局などが入る駅ビル、エスタシオンが完成。宅地造成と販売が進み、昨年9月には駅から住宅、大学を結ぶコミュニティバスが運行を始めた。さらに今年3月には大型商業施設イオンモールが開業、ふじと台への注目度は高まった。

 駅は現在、住民や学生、イオンモールへの買い物客らが利用しており、1日の平均乗降者数は7222人(14年8月)にのぼる。10月には特急が停車するようになった。浅井建設の浅井孝浩代表(49)は「駅ができ、ふじと台の街としての骨格が整い始めた」と語る。

持続可能な発展に

 

 現在、ふじと台には1500世帯が暮らす。西五番丁の自治会長、井上仡(たかし)さん(73)は、信号の設置や地区と街路の名称統一などを提案してきた。「駅や道路などハード面は建設会社がしてくれるが、ソフト面を住民で築き、子どもが安心して暮らせる街づくりができれば」と意気込む。
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 11年4月、児童503人で開校した藤戸台小学校は、現在778人が通う。来年4月には830人になる予定で、再来年に6教室を増築する。横町真紀校長(56)は「和大生が授業を見に来たり、児童がキャンパスに行くこともあり、大学と連携できるのが利点。住民との交流を深め、地域に愛される学校にしたい」と望む。
 今後、さらなる造成が進み、人口3万人規模のニュータウンになる見込みだ。浅井代表は「大阪市のベッドタウンとして近畿から和歌山への移住者を増やしたい。ここに住む子どもが10年、20年後も誇りに思える街にしていければ」と描く。
 交通まちづくりを専門とする和大経済学部の辻本勝久副学部長は「ふじと台周辺の若々しい活力と、中心市街地はじめ市内各地の魅力を公共交通で結び、市全域の持続可能な発展につなげていく。和歌山市にはその具体的構想が求められているだろう」とみている。

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(ニュース和歌山2014年12月6日号掲載)