2015032501miryoku

 1年中果物が楽しめる「フルーツ王国」紀の川市をアピールしようと創作された「ぷるぷるフルーツ寿司」。イチゴと干ぴょうの巻き寿司、キウイとシーチキンの軍艦巻きなど地元産の果物をふんだんに使い、寿司の新境地を開く力寿し(紀の川市粉河)の力谷昭夫さん(49)に、店のこだわりと地域への思いを聞きました。(文中敬称略)

きっかけは研究会

——フルーツと寿司、意外な組み合わせです。

力谷 紀の川市産の旬の果物を寿司のネタにしています。今の季節は、イチゴと生ハムのにぎり寿司やハッサクのサラダ巻きなどを提供しています。うちの店はシャリが甘めなので果物とよく合いますよ。初めは驚かれますが、「フルーツの香りが口いっぱいに広がってさわやか」「さっぱりしていて、食べ応えもある」と好評です。しょうゆを付けず果実そのものの味を楽しんでほしいですね。ビタミン豊富で塩分控えめ。健康志向の女性や、生魚が苦手なお子様に喜ばれています。

——果物を寿司に使おうと思ったのは。

力谷 紀の川市を盛り上げようと、果物にちなんだ料理や川柳を考えるフルーツ・ツーリズム研究会という市と市民有志のプロジェクトが昨年できました。そこでメンバーから「寿司と果物も合うんじゃない?」とアイデアが出て。新しいことに挑戦するのが好きで、二つ返事で受けました。秋だったので、ぶどうとイクラの軍艦巻きに柿と梅肉の細巻き、イチジクと大葉の細巻きを試作したところ、メンバーに好評でお店で出すようになりました。果物と酢飯のハーモニーを出すため、わさびの代わりにマヨネーズやすだちをしぼったりしています。

粉河に恩返しを

——店のこだわりは。

2015032501miryokuayu

力谷 1982年創業の父と母から受け継いだ店です。特に、創業当時から作っている鮎寿司は店の看板メニュー。紀の川で育った鮎を焼き、秘伝のだしで12時間じっくり下炊きして甘辛く仕上げています。ふっくらとした柔らかい押し寿司で、お土産にされる観光客の方も。粉河の名産品にしたいですね。 

——春のおすすめは。

力谷 定番の鮎寿司とイチゴのぷるぷるフルーツ寿司、それに桜(笑)。この地域は粉河寺や秋葉山公園、中津川沿いの桜堤など桜の名所がいっぱいあります。地元で桜坂と呼ばれる他では知られていない桜スポットもあります。さわやかで甘酸っぱいフルーツ寿司をほおばりながら、粉河の美しい桜も味わってほしいですね。

——どんな店にしていきたいですか。

力谷 幕の内弁当や会席料理も出していて、法事や慶事などでも地元の方に使って頂き、今まで店を育ててもらいました。紀の川市に恩返ししたいです。鮎ざんまいのコースやフルーツ寿司を進化させ、それ目当てに粉河に観光客が来るような地域活性化の起爆剤になる寿司店を目指しています。両親から受け継いだ味を守りながらも、地場のものを使い、固定観念にとらわれない挑戦を続けていきたいです。

写真下=12時間下炊きした看板メニューの鮎寿司

【力寿し】紀の川市粉河10−6。午前11時〜午後6時。月曜定休。0736・73・6670。


大きな地図で見る